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ー波乱ー49
和也は望が行ってしまった後に、料理を口に運ぶ。今まで話をしていたせいか、あまり進んでいなかった料理を一気に口の中へと入れる。
少し空いた窓からは暖かい風が食堂へと入り込み、和也の髪を揺らす。
それから、食器類を片付けに行っていた望が和也の元に戻ってくると、和也は望のことを見上げて言う。
「望……俺さ……飯食い終わったら、昨日の女性のとこに行ってくるわ。やっぱり、裕実がいるんだからさ、どっちみち断らないとな。女性なら、これからまだまだ先にステキな男性に会えるかもしれねぇんだし、早く断っちまった方がいいと思ってよ」
「ああ、そうだな……俺たちとは違って、まだまだその人には未来があるんだから」
「まぁな」
望はそう言いながら、さっきの場所に再び腰を下ろすが、和也は一気にご飯を食べ終えると、お盆に食器を思いっきり置いて、どうやら自分に気合を入れたようだ。
そして和也はそのまま、お盆を片付けに行き、食堂を出ていく。その姿を望は追っていた。
「珍しいな……アイツに気合が入ってるなんてさ」
望はとりあえず和也がいなくなると、再び中庭の方に視線を向ける。
この昼休みにやることがなくなってしまった望。少し前まではお昼を食べ終えると雄介とメールをしに屋上に向かっていたのだが、今はもう雄介は入院している。だから望はただ単に雄介に会いに行けばいいのに、望の性格上そんなことはしない。
「自分の部屋に戻るか……」
と一人呟くものの、やはり和也のことが気になったらしく、
「やっぱ、和也のとこに様子見に行っちまうか?」
今までの望は、そういうことに関して疎かったのかもしれないが、どうやら今回のことについては気になってしまったらしい。好奇心で体が動いてしまったのだ。きっと恋人ができて、望の中で何かが変わってきたのだろう。
望は和也を探して外科病棟の方へ向かう。
エレベーターを使って外科病棟へ出た直後、エレベーター前で和也がその女性に頰を叩かれている瞬間が目に入る。
その瞬間を目にしてしまった望は、目を丸くしてしまった。
望は、ただ単に和也との話のネタにでもなればいいか、と思ったのかもしれないが、真面目にその光景を見てしまった望はその場で動けなくなっていた。
「ま、しゃーないかってところなんかな? 気が強い子やったら余計にな……」
望がその光景を呆然とした表情で見ていると、すぐ隣に雄介が来ていたらしく、雄介がそう言って望に話しかけてきた。
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