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ー波乱ー50
「そういうもんなのか!?」
「多分な……あの子が他に和也を叩く理由は見当たらへんもんな」
望が再び和也の方に視線を向けると、今度は和也がその子に対して頭を下げている姿が目に入ってくる。
「本当にすいませんでした。 昨日は期待させるようなことを言ってしまい、本当に申し訳ございません」 「あなたを許すわけないじゃない! 本当に私は、あなたが昨日あんな風に言うから、いい返事を期待して待っていたのに、今日は昨日とは一変して、『恋人がいるから付き合えません』ですってー! 本当に、酷い人!」
その女性は腕を組み、そっぽを向いてしまい、
「もう二度と私に話しかけないでくださいね。それほど、私の方はあなたの顔を見たくありませんから!」
和也はその言葉に、女性の顔を見上げて言う。
「申し訳ございませんが、それとこれとは話が違います! 僕は仕事であなたの病室に行かなければならないことが多々あります。 たとえあなたに嫌われようと、僕からしてみたら、あなたの病室に行かないということはできませんからね。 その点についてはご了承いただけると助かります。 ですが、仕事以外ではあなたに会おうとは思いません。 だから、あなたがしっかりと治されて退院する日まで、僕にはあなたのことをしっかりと看させていただく義務がありますので、しばらくの間、こんな僕ではありますが、お付き合いいただけると助かります」
そして最後に、和也は女性に向かって深々と頭を下げる。
流石の女性も和也にそこまで言われると、「ノー」とは言えなくなったようにも思える。
しかも、和也の言葉には誠実さも込められていたからだろうか。その女性は興奮状態から心を鎮めたらしく、
「分かりましたよ。 あなたって本当に素敵な方だったんですね。 確かに恋人にはなれないのは残念だけど、きっと、あなたの恋人さんの方が魅力的なんだと思うわ。 だから、私なんかより恋人さんの方がいいってことなのよね?」
「そんなふうに自分を卑下に思うことはありませんよ。 あなたは十分にお美しい方ですから、僕以上に素敵な男性がきっとあなたの前に現れると思いますから……だから、頑張ってくださいね……病気にも……恋にも……」
和也はそう真剣な瞳でその女性に言うと、笑顔を向けるのだ。
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