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ー波乱ー62

「……ですね」  そう裕実は雄介に向かい笑顔を向けるのだが、やはり媚薬の効果で苦しいのであろう。 息は荒く息は荒く瞳の方も完全に宙に浮かせてしまっている状態だからだ。 「苦しくないんか?」 「だ、大丈夫ですから……」  そう裕実はそう言うものの、それを裕実に聞いては失敗したと思っている雄介。  どんなに苦しくたって裕実の場合には人に迷惑を掛けたくないと思う性格だからなのか平気だって答えるのは分かっていたのだから。  雄介は他に何か言葉がないかと頭の中で検索しているようなのだが、どうやら上手く見つからないようだ。  そんな時、チラリと裕実の方に視線を向けるとズボン越しにでも分かる程に裕実のモノは勃っていた。  そんな状況でイけないのは辛い事だっていうのを雄介にだってよく分かっている。  そんな状況の裕実を見て雄介は裕実の事をイかせて上げたくなってきているようだ。 心配そうな表情で雄介は裕実の事を見つめているのだから。  だが雄介の場合には下心ではなく優しさでイかせて上げたいと思っているのかもしれない。 「なぁ……裕実……俺が……」  そう雄介が最後まで言わないうちに裕実は雄介が何を言おうとしているのかが分かったのであろう。 「雄介さん……ありがたい申し出ありがとうございます。 だ、大丈夫ですから……っ……僕、和也さんが戻ってくるまで……待ちますから……大丈夫ですよ……。 これはきっと……ん……僕に与えられた……ん……罰だと思ってますからね……」 「……はぁ!? 罰って、なんやねん? 何か悪い事でもしたんか? そういう場合、『試練』の方が……」  裕実は荒い呼吸を繰り返しながら雄介とは反対側を向いて、 「スイマセン……僕、本当は……あの……雄介さんの方が……ん……タイプだったんですよ……」 「はぁ!? 俺……!?」  裕実からのそんな告白に雄介は目を丸くする。  だが思い出してみると確かに最初の頃は裕実からアピールされていたような事があった。 「だけど、雄介さんには望さんがいて……だから、僕は雄介さんの事を諦めたんです……。 それから、和也さんの方が告白してきて……ん……! 僕は雄介さんの事を……忘れる為にも……和也さんと付き合い始めたって事なんですよ……。 でも……っ……和也さんと付き合っていくうちに……和也さんの優しいとことか、色々とカッコイイ和也さんを見ていくうちに僕は……和也さんの事が……好きになっていたっていう事なんです。 今ではもう僕は和也さんの方がいいと思ってますからね……。 だから、今回の事については自分の中では罰だと思っていますから……」

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