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ー波乱ー68
「ほなら、暫く待ってなきゃアカンのか? ホンマにアイツややこしいやっちゃな……アイツがいるせいで、緊急事態が発生したとしても直ぐに動かれへんって事やんか」
「まったく、本当だぜ」
和也は呆れたようなため息を吐く。
その直後タイミング良くドアが開き、
「悪い……遅くなっちまって……とりあえず、アイツには今日遅くまでやる事があるから、先に帰って行っていいよ。 って言って追い出しては来たんだけどな」
「ありがとうな、望! じゃあ、俺達の方は行くからさ」
「とりあえず、内側から鍵は締めるようにな……一応鍵は締めておいた方がいいしさ」
「ああ、分かってる」
そう和也は言うと望と雄介に手を振って雄介の病室を後にするのだ。
「やっと、安心出来たな」
「そうだな」
望はひと息吐くと椅子へと腰を下ろす。
その時、光りと同時に大きな音を轟かせる雷。
その音にビックリしたのは望だ。
「はぁー、ビックリしたぁ! 雷鳴ってたのか?」
「ああ、さっきから鳴っておったで。 望は雷平気なんか?」
「あんま好きじゃねぇよ……寧ろ嫌いな方だしな」
望はそこで言葉を一旦止めるのだが、まだ何か言いたそうだ。
「ホンマはめっちゃ怖いん?」
そんな事を話しているうちにもう一発大きな音が鳴り響く。
「あー! もう! 我慢出来ねぇよ! 無理だ! 無理!」
そう言いながら望は裕実同様に耳を塞いでしまっていた。
そんな望の様子に雄介は微笑ましく見ていると、
「裕実も嫌いやねんって……裕実もさっき望みたいな事しておったみたいやけど、望になら、いや俺の恋人だったら、抱きしめる事出来るよなぁ」
雄介はそこで一旦言葉を止めると、
「望……俺のお腹の上に来て欲しいねんけど、めっちゃ、俺、望ん事抱き締めたいきぶんやねんって……ついでに言えば、昨日は最後までやれんかったから、今日はしたい気分やねんけどな……きっとアイツらもやるんやと思うしな」
「……って、足の調子はどうなんだよ」
と望が何か言葉を繋げようとした時にもう一度、空が光って大きな音を響かせる。
「ほら雷も怖いねんやろ? その事さえも忘れるくらいに……って思うてな」
「ああ、まぁな。 なら、俺が雷の事忘れるくらい……」
「激しいのがええんか?」
「当たり前だ……」
望は雄介に向かって笑顔を見せる。
「了解。 ほな、俺が動かれへんとこは望が動いてな」
「ああ、分かってる」
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