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ー波乱ー72
「ああ、大丈夫だ……俺は雄介の事は責めねぇよ。 それに、裕実の事を雄介に頼んだのは俺なんだしさ。 それを最初に言ってるんだから、俺が雄介を責めるのはおかしいだろ? それに、俺が一番悪いんだからさ。 だって、俺は最初の頃、望の事が忘れられなくて、それで、雄介と望が恋人同士になってからだって、ずっと、妬いてたんだからな。 でも、お前が俺の前に現れて、最初は裕実に恋なんかしてねぇー! って望の前では言ってたんだけどさ……でも、望に問い詰められてっていうのか、そんな感じに言われて、認めたら楽になったっていうのかな? だから、今はもうお前の事が本当に好きだ……そこは、分かってくれるか?」
そう和也は切なそうにその事について告白をすると裕実の方も口を開き、
「僕の方も本当の事を和也さんに言わせていただきますね。 僕も最初、本当は雄介さんの方がタイプだったんですけどね。 そう、僕って体が小さいですから。 雄介さんみたいにガタイがいい人がタイプだったんです。 ですが、あの震災の時に雄介さんは望さんと恋人同士だっていうのを聞いて、僕は逆に諦める事ができたのです。 だけど、和也さんが僕に告白をしてきて、とりあえず、付き合ってみる事にしてみたんです。 だけど、和也さんっていう人は僕の思った以上に優しくて、どんどん僕は和也さんに惹かれて行ってたんですよ。 だから、今、僕が本当に好きなのは和也さんなんです!」
「そっか……まぁ、これで、お互い様って事だよな? 本当の事、言ってくれてありがとう。 俺達って、今、本当に幸せな時なんだよな?」
「はい!」
「じゃあさ……」
和也はそこまで言うと裕実の耳側で、
「恋人同士になったんだから、俺の事、特別な名前で言ってくれねぇかな? 今ならもう呼べるだろ? 俺はそっちの方が誰に呼ばれるよりも嬉しいんだけど……」
裕実はその和也の言葉に顔を赤くすると、
「分かりました……和也さ……和也……」
「うん! やっぱり、いいよなー! お前にそう呼ばれるのはさ。 これからも『和也』でいいからな……」
「はい!」
裕実は笑顔でそう言うと和也の首に腕を回して自ら和也の唇へとキスをする。
やっと二人にも本当の幸せが訪れたのかもしれない。 今までみたいに偽りのカップルではない。 心まで通じれるカップルになったという事だ。
和也の方もその喜びを伝える為に本当に今までにはないような愛おしそうな表情をすると裕実の頰を両手で包み込み沢山のキスを顔に落としていく。
額に頰に鼻の頭、そして唇にまでキスを落とすと離れて今度は裕実に向かって笑顔を向ける。
その和也の笑顔に裕実の方もいつも以上にくすぐったさを感じたのか恥ずかしくなってきたのか顔を真っ赤にさせていた。
「ほんと……お前って可愛いよな。 ホント、俺、お前の事好きになって良かったって思ってるからな」
和也はそう優しく言いながら裕実の頰を優しく撫でる。
「和也……くすぐったいですよ……」
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