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ー波乱ー77

「朝……院長からメールが来て、院長室に来るようにと書かれていたんですよ。そして寄って院長と話をしていたら、遅くなってしまったということですかね? 院長との話はもちろん、本宮さんとのコンビのことについてでしたけどね。院長は僕のことをしっかりと見ていてくれたようで、早くも吉良先生とは離れて仕事ができるようにしてくれたみたいです。これが、今日遅れた理由……なんですけどね」  その颯斗の言葉に、言い返せないでいる望と和也。その言葉に、むしろ言葉を失ってしまったように思える。  まさか、こんなにも早く裕実と颯斗がコンビになるとは思っていなかったからかもしれない。 「もう、院長からの話が出ているので、数日中にはと言っていましたけどね」  颯斗の方は何だか楽しそうに微笑んでいるだけなのだが、望や和也からしてみたら、夢であって欲しいと思っているのかもしれない。 「俺が! 俺が! お前と組むから! 裕実とだけは……!!」 「馬鹿っ! 和也、逆に何を言ってんだ!? お前と新城だったら、新城の思う壺じゃねぇか!」  もう、和也は冷静でいられなくなっているのだろう。和也は立ち上がり興奮気味に言うが、望は必死になって和也の腕を掴んで止めている。 「梅沢さん、それでいいんですか?」  嬉しそうに微笑む颯斗だが、望は和也を庇うように和也の前へと立つ。 「和也はダメだ! アンタとは組ませらんねぇよ……! 今の和也はお前のせいで冷静さを失っているんだ! 俺が親父に掛け合ってみる!」 「吉良先生が……院長に掛け合ってみますか?」  颯斗は手を顎に当てて、 「吉良先生が院長と話すことができるんですかね?」  と、更に余裕の笑みを浮かべる颯斗。  望の父親でもある院長は望を溺愛しているようだが、望はそれを鬱陶しく思っているため、あまり院長に近付こうとしていなかった。そのため、颯斗がそのことを知っていると、望は言葉を詰まらせてしまう。 「な、だから、俺がコイツとコンビを組めばいいんだろうが……。多分、望が院長に掛け合ったとしても、院長はきっと……新城とは俺か裕実としかコンビを組ませてくれねぇと思うぜ。この病院では患者さんのことが一番なんだからさ。それなら、できる奴とできる奴がコンビを組んだ方がいいってことになるんだろ? プライベートのことは二の次なんだからよ……そこは、望だって分かってるんだろ?」

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