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ー波乱ー92

 望はその雄介の言葉に呆れたような表情をする。 「今まで真面目な顔してたのにさぁ、お前は何故、そのいい雰囲気を壊すのかな? まさか、女の子の前でも、そんな事言ってたのか!?」  雄介は考えるかのように天井の方に視線を向けると、 「確か、ないなぁ?」 「なら、何で俺だけなんだよ……」 「なんでなんやろ? そこは分からへんねんけどな……望が誰よりも可愛えからなんとちゃう?」  望はその雄介の言葉にこう複雑そうな表情を浮かべる。  流石の雄介もその望の表情に気付いたのであろう。 「そないな顔すんなやぁ、ホンマ今は俺にとって望が一番好きなんやから、それでええんと違うの?」  そう雄介は望に笑顔を向ける。  だが望はその笑顔が心配になったのか不安そうな顔で雄介の事を見上げて、 「なら、そんなふざけた顔で言わないで、真面目な顔して言えよな」  そう望は真っ直ぐな瞳を雄介へと向ける。 「そういう事なんかいな」  雄介はひと息吐くと望の肩を両手でしっかりと掴み望の瞳を真っ直ぐに見つめると、 「ホンマに俺はお前だけや……ホンマに望は俺が一番に好きになった相手やから、俺の元から離れんといてなぁ」  雄介そこまで言うと望の事をしっかりと抱き締める。  雄介がそうした事で望からは雄介の顔が見えないで済んでいる為か、望も、 「俺も……だからな……。 今は逆にもうお前が俺の前からいなくなっちまう事の方が本当に信じられなくなってきてる位だしな……絶対に命落とすんじゃねぇよ」 「ああ、それは十分承知しとるしな。 絶対に望がいる限りは命……落とさへんし」  雄介は再び望の瞳を見ると、その綺麗で真っ直ぐな瞳に吸い込まれるように瞳を閉じて望の柔らかくて甘い唇へとキスをする。 「ホンマ、今日は途中で止めてもうてスマンかったな……今日はいつもより気持ち良くさせたるし」  望はその雄介の言葉に何も言えずに雄介の顔を見ながら頭を頷かせる。  雄介はそれを確認すると再び舌や指先を使って体へと這わせ始める。 望の鎖骨や胸を愛おしそうに撫でていくのだ。  今日はお互いの事を見つめあってからの行動だったからなのか、いつも以上に望の方は感じているらしく望のその可愛い声が部屋内に響き渡り始める。

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