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ー波乱ー102

 雄介はやはりレスキュー隊員だけあるのか筋肉質な体をしている。 だが反対に望の方は鍛えることがない為なのか雄介とは違い細くて白い肌をしていた。 そりゃ、ある程度は筋肉はあるものの流石に雄介並ではない。  一体、どれだけ鍛えたらこんなになるのであろうか? 雄介はこの体で何十人、いや何百人の命を救ってきたのであろうか?  人々を救う方法は職業によって異なる。  雄介の場合には事故や災害にあった際に現場で人々を助ける仕事をしている。 望の方も人を救う職業で、その事故現場や災害で傷付いた人々を治していくのが望達の仕事だ。 だから、この二人に共通しているのは命の尊さを知ってるっていう事だろう。  だが、そんな二人にだってプライベートな時間はあるわけで仕事外の時にはこうやって普通の恋人達のようにラブラブな事をしたりイチャイチャな事をしている。  雄介の方は望の体を十分に楽しむと再び舌を這わせて愛おしそうに望のお腹や腕にも舌を這わせていくのだ。 「はぁっ……ん!」  再び声が出そうになった望は声を急に詰まらせる。 さっきまで手錠をされていて手は使えなかったのだが、今は手錠は外されているのだから口元へとその手を運んでしまっていた。  一生懸命、雄介は望の事を気持ち良くさせようとしていたのだが望の声が聞こえなくなってしまった事に気付いたようで、一旦、顔を上げると望が口元に手を置いてしまっている姿が目に入ってきたようで、その姿に切なそうな表情を見せた雄介はひと息吐くと、 「望……大丈夫やって……今、お前の声を聞いているのは俺しか居らんのやし、我慢せんでもええから、望の声……俺に聞かせてぇや……」 と言いながら雄介は望の口元にある手をゆっくりと退ける。 「望……不安なら……口元に手をやらんと……俺の肩に腕回してくれたらええし。 俺はいつでもお前の側におるからな」 そう言うと雄介はその望の手を取り自分の肩へと腕を回させる。  すると、望は、もう片方の腕は自分で雄介の肩へと回す。 「これでいいのか?」 「あ、ああ……ええよ……」 まさか望は自ら腕を回してくれると思っていなかった雄介。 一瞬、戸惑いながらも最終的には笑顔で答えるのだ。  まさか、あの雄介の告白から望とこうして恋人になって、ここまで発展出来るとはあの頃は思ってなかった事だろう。 もし、あの時、望に告白してなかったら? 今このように幸せな生活を送っていなかったのかもしれない。 運命とはそういうものだ。

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