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ー波乱ー116

「望さん……今日はお風呂に一緒に入りませんか?」 「あ、ああ、構わねぇけど……」 いきなり裕実からの申し出に望は一瞬戸惑ったのだが、たまには雄介以外の人を入るのも悪くはないとでも思ったのか、それとも和也と入るよりは裕実と入った方が安心とでも思ったのかそこはわからないのだが望はその裕実の提案に返事し裕実と望は一緒にお風呂場へと向かうのだ。 「和也! 見えるからと言って見ちゃダメですからね!」 「分かってるよ……それこそ、覗いたら怖いお前達に怒られちゃうからな」 和也の方はその裕実の言葉にソファへと背中を預けると本当に見ませんよ。 と態度を取ったようだ。 確かにお風呂場の方は視線を向けないと見れないのだが、ここは一人暮らし用の部屋。 だからなのか音だけはしっかりと和也の耳には届いてしまっている。  すると、お風呂場からはこう怪しげな会話が聴こえてくるのだ。 「ちょ、望さん! そんなとこ触らないくださいよ……」 「だって、洗いっこしようって言ったのはお前の方だろ? だから、色んな所洗ってやろうって思ってさ……なんだ、裕実は和也以外に触れられても感じちゃう方なのか?」 「だって……望さん……が……ぁ……そんな所に触れてくるからですー」 「だって、ココはきちんと洗わないとだろ?」 「ですけどー、ほ、本当にそこは……っ……ダメですってば!」  とどうやらお風呂に入って行った裕実と望は会話からすると二人で洗いっこをしているようだ。  テレビを見ながらどうにか誤魔化していた和也だったのだが、そんな裕実が出す甘い声に反応したらしくテレビなんかよりやはり男なのだから気になって仕方がないという所であろうか?  確かに、お風呂場は気になるのだが、さっき裕実に痛いっていう程釘を刺されているのだから覗いてしまったら完全にまた怒られるのは分かっている。  でも、やはり、そんなおいしい状況を見るなー! と言われると余計に見たくなってしまうもんだ。 しかも望と裕実なのだから余計になのかもしれない。  そう言った怪しい会話だけなのに和也は変な想像でもしているのか少しずつではあるのだが和也のムスコさんが反応してきているらしい。 とりあえず腕を組んで我慢している和也なのだが声だけはどうしても聴こえてきている。 「じゃあ、次は望さんですね」 「ああ、頼むな……」 「はい! 任せておいて下さいね」 「やっべ……本当に人に洗ってもらうって気持ちいいんだな」 「でしょう……」 裕実はその望の言葉にクスリとすると、 「じゃあ、次はさっき意地悪な事を望さんにされたので、僕の方も同じ事をさせていただきますね。 気持ちいいからって、声出したらダメですよ」 「分かってるって……って、おい……いきなり、なのかよっ! ぁ……ちょ、ヤバいって! 声を出すなって言う方が無理に決まってるだろ……」

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