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ー波乱ー122
望という人物はこういう話が苦手で、そう言うと、その場に立ち上がり、窓の外に見える月を眺めた。
「なあ、望……俺の話は聞いてくれへんの? 俺もな……昨日、今日と、望が居らへん中でずっと一人考えておった事があんねんけど」
雄介は、まだ望の近くには寄らず、望の後ろ姿だけを見ていた。
「望がこういう話苦手やっていう事は知っとる……せやけど、どっちの意見も聞かないのは解決にはならへんやろ? 俺やって望のためを思って考えておった事なんや……そっち向いたままでええから聞いてくれへんか?」
そう雄介はそこで一旦言葉を切ると、
「この前の事、俺が悪かったな。あんな弱い部分を望に見せてもうたんやからな」
雄介は窓の前にあるテーブルに両手をつき、頭を俯かせた。その雄介の言葉に反応したのは望だった。
望は後ろを振り向き、雄介の方へ笑顔を見せる。
「分かってる……まぁ、正確には全部和也に教えてもらった事なんだけどな。それに、昨日は和也にも説教された……なんつーのかな? いつもふざけた奴だって思っていたんだけど……和也の言葉って、たまにガツンと心に響くような事を言ってくれるんだよな? そして、俺の背中を押してくれる奴だし、だから、俺だけの意見じゃなくて、雄介の事もちゃんと考えていてくれて……だから、雄介の事が分かったっていうのかな? で、雄介の方はこの前言っていた事は本気なのか?」
望もテーブルに両手をつき、雄介と同じ視線で雄介を見つめた。
「ホンマに和也には感謝せなアカンよな? アイツのお陰で俺には考える時間が二日もあったんやからな……この前のはただ俺が弱気になっていただけや……大丈夫! 今の仕事は続けるしな! ただ、俺が命を落とさないように頑張ればええわけやし、簡単な事やったんやって……な、望……」
「あ、ああ……まぁ、そうだな」
自信に満ち溢れた表情をする雄介。その雄介の表情に望は安心したのか、微笑んだ。
「なら、今回の事はもう解決でいいよな? 雄介……悪かった……俺があんな事言わなきゃ、お前を不安にさせる事はなかったんだよな?」
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