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ー波乱ー124

「ちょ、いきなり、どないしたん? そないな怖い顔して」 「とりあえず、よく考えてみたら、まだ話は終わってねぇんだよな」 「はぁ!?」  そう、雄介は望の言葉に裏声を上げる。  望は雄介に近づくと、雄介の顔を見上げて、 「今日の昼間、病院で見た女性は誰なんだ? お前の手を親しそうに握ってきてたようだけど……? こんなふうにさ」  そう望は言うと、雄介の手を取って、わざとギュッと握る。 「こんなふうにな」 「あ……」  雄介は、今の望の行動でどんな事かを思い出したのだろう。声を上げたかと思えば、いきなり笑い始める雄介。 「ちょ、はぁあああ!? なんでそこで笑う必要があんだよー! こっちは真面目な話してんだぞ!」 「アハハ……悪い……悪い……望がそのことについて嫉妬してるって思うたら、笑えてきてもうてな……逆に嬉しくなって笑ってもうたってことなんやって」  それでも望はムッとした顔を崩さない。 「あの子は前に車で人身事故を起こしてな……自分の方は無事やったんやけど……車の中にまだお母さんが残っておって、助けた子なんやって……それで、事故でお母さんも助かってよかったんやろな……お礼を言って来てくれただけなんやって……まぁ、俺はある意味、和也に助けられたけどな」 「はぁ!? どういう意味だよ……あの雰囲気だとお礼だけじゃねぇだろ?」 「あ、まぁ……望やから包み隠さず言うねんけど……誤解もされたくないしな。その後、その子は場を考えずに俺に告白してきたって訳や。そこに俺はムッとしておったんやけど、普通、病院内で告白なんかできるかぁ!? まぁ、その直後、和也に呼んでもらえて助かったっていうのはあんねんけどな」  そこまで話すと、雄介はため息を吐くが、その直後に大きな声を上げる。 「あー! あの絶妙なタイミングとか……まさか、あの現場見ておったんかいなー!」 「あー! もう! そう大きな声上げんなよな……お前の声ってただでさえでかいのに……見てたから……その……」  望の頭の中で、どうやら雄介が言っていた「嫉妬」という言葉が回っているようで、望は言葉を詰まらせてしまう。 「まぁ、そういうこっちゃな」 「それって、どっちの意味だよー」 「どっちって聞いてくるってことは、望の中で二つの選択肢があるってことなんやろ? 一つは『話が終わり』っていう意味と……もう一つは『嫉妬』って意味がな……」

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