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ー波乱ー125

 その雄介の話に、さらに顔を赤くする望。 「やっぱ、望にはそういう顔の方が似合っとるな」 「ったく、さっきから意味分からないようなこと言ってんじゃねぇぞ!」  そう言うと、なぜか雄介のことを追いかけ始める望。  雄介の方もそれに反応して、走って逃げて行ってしまった。 「やっぱ、望は可愛えって……」 「俺は全然可愛くもなんともねぇ!」 「ん? 自覚しとらんの?」 「自覚してるわけがねぇだろうが……!」 「ほなら、無意識なんか?」 「だぁー! うっせぇなー! ったく、何で逃げてんだよっ!」  雄介はその望の言葉で、ピタリと足を止める。  いきなり雄介が足を止めたため、勢いよく走っていた望はうまく止まることができず、雄介の腕の中に体を埋めてしまう。雄介は望を受け止めるつもりで止まったのだろう。 「ん?」  急に雄介の温かい腕の中に収められて、望は不思議そうな表情で雄介を見上げる。 「ん? 望が止まれって言うたから、俺は止まっただけやで……」 「あ、ああ……まぁ、うん……」  何だか久しぶりの感覚に、望は雄介の温もりを感じたのか、顔を俯けて幸せそうな笑みを浮かべる。  やはり今は、雄介と別れなくて良かったとさえ思っているのかもしれない。  もし本当にあの時、雄介と別れていたら、もう二度とこんなことにはなっていなかっただろう。こんな風に雄介に抱いてもらって、温もりも二度と感じることがなかったのだから。 「ほな、早く風呂に入ってこい……明日も仕事があんねんやろ? 寝る時間減ってまうで……」 「あ、ああ……そうだな」  望はその幸せなひとときを楽しむと、雄介から離れてすぐにお風呂場へと向かう。  望がお風呂に入っている間、雄介はいつものように望の髪を拭いて、次に自分もお風呂場へと向かう。  その間、望はリビングでテレビを見ていて、雄介がお風呂から上がってくると、一緒に二階の望の部屋へと向かう。  部屋に入ると、ベッドに横になる二人。 「なぁ、望……ああやって、今でも煙草吸ってるん?」 「いや……今日は久しぶりに吸ったって感じだな」 「ほな、なんで今日だけ吸ったん?」  雄介は興味津々に体を乗り出してまで聞く。 「……ったく、わからないのかよっ! さっきの会話でわからなかったのか!?」  望は恥ずかしいのか、枕へと顔を埋め、声をこもらせて言う。 「さっきの会話……でか!?」  雄介は乗り出していた体を、今度は仰向けにさせて天井の方を向いて考え込む。

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