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ー波乱ー128
望はそれを受け取ると、一気に半分くらいまで飲み干し、今までカラカラだった喉を潤すことができたせいなのか、
「まずいのかもしれねぇ」
「まずいって……水が?」
「朝から、そんなボケをかますかよ!」
「じゃあ、なんなんだよー。そのまずいっていう意味はさ……」
「まぁ、ただの俺の勘違いっていうんだったら別に構わないんだけどさ。朝、駐車場まで来たら、何か分からないんだけど……背後で殺気みたいなのを感じたんだよな? 背後で殺気みたいなのを感じるってこと、普通の日常であり得ることなのか!?」
「まぁ、確かになぁ」
「だから、俺は慌てて部屋に入って来たってわけ……」
「確かにそれはまずいよな?」
「だろ?」
和也は、望が言っていることを腕を組んで考え始める。
「でも、何だろうな? その望が言う殺気みたいなものって? ってかさ、望に向かって殺気を出しているってことは、望に何か恨みでもある奴の仕業ってことになるんだろ? それとも、ストーカーか?」
「つーか、真面目な話してんのに、前から茶化すなって言ってんだろうが……」
望はそこまで言うと、ため息を吐く。
「そりゃ、ストーカーは笑ったけど、可能性はゼロではないんだよな? 望ならあり得そうなのかな?って思ってさ」
「だから、笑いながら言うんじゃねぇよ」
望は和也の顔を見上げ、和也の後頭部を目掛けて叩く。
「だから、叩くのは痛いんだって!」
「俺の方はマジで叩いてますー。それに、お前の頭を目覚めさせるためにもな」
「あー、もー! 望が頭ばっか叩くから逆に頭悪くなりそうなんですけどー」
ふざけながら言う和也に、望はため息を吐くと、手を顎に当て、とりあえず考える。
「望には悪いんだけど……今はそんなこと、考えてる場合じゃねぇんだぞ! 時間がないんだし、着替えなきゃだろ?」
「ん? あ、そうだったな……」
「一緒に着替……」
和也が何を言おうとしているのかが分かったのか、
「一人で着替えて来い……」
と望は即座に言葉を返す。
そんな僅かな時間でも、望は考え事に没頭する。
恨みによるものなのか? それとも、和也が言うようにストーカーの仕業なのか?
恨みを買うようなことは、この仕事をしているから、十分にあり得る。だから、こっちの方が可能性が高いのかもしれない。
だが、ストーカーの線が消えたわけではない。確かに恨みよりは可能性が低いかもしれないが……それでも、やはり恨みの方が可能性が高いと見られる。
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