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ー波乱ー131

 今日はとりあえず何事もなく帰宅した望。  帰宅した時間はすでに二十三時を回っていた。  雄介は玄関で物音がしたのを聞いて、すぐに玄関へ迎えに来た。 「悪い……遅くなっちまって……夕飯あるのか?」  望は雄介を見た途端、急に安心感が生まれたのか、疲れた表情を見せながらも笑顔を浮かべた。 「おかえり。夕飯はちゃんとできとるで。俺も一緒に食べようと思って待ってたんや」 「それなら、先にご飯にしてくれねぇか? 腹減ってるからさ」  雄介はその望の言葉に一瞬首を傾げた。 「望……?」 「なんだよ……」  雄介は望の後ろを歩きながら、話しかけた。 「先に風呂ちゃうの? まぁ、昨日はしゃーないとしても、いつもの望やったら、帰ってきたらまず風呂やんか」 「やっぱ、気づいてくれたか?」  望は独り言のように呟いた。 「とりあえず、話があるからさ、先に飯にしてくれねぇかな?」  望はリビングに入る前に立ち止まり、雄介の方を真剣な眼差しで見上げた。 「これで、今日俺が風呂に入らない理由がわかったか?」 「ああ、まぁ……。せやけど、別れ話とかちゃうやろな?」 「それはないから大丈夫だ」  望はその言葉を残し、リビングに入っていった。  その言葉を聞いて、雄介は安心したが、それも束の間。望は椅子に座ると、今日あった出来事を話し始めた。そして、四日か五日くらい、送り迎えを頼むことにした。  雄介はテーブルに料理を運びながら、 「そういうことなら任せておいて。仕事行く前の肩慣らしって感じやな。それに望の用心棒やったら、いくらでもしたるしな」 「ああ……。それと、家にいる間に何かあったら、すぐに俺にメールしてくれよ」 「ああ、わかっとる」 「なら、話はそれで終わりだ」  しかし、雄介はまだ何か悩んでいる様子だ。 「なあ、望……今の話を聞いとると、今回の犯人って内部犯なんとちゃうか?」  望はその言葉に驚き、目を丸くして雄介を見上げた。 「内部犯!?」 「せや。朝、望が殺気を感じたっていうのは職員用の駐車場やったんやろ?」 「あ、ああ……まぁ……」  望はそう頷いた。

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