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ー波乱ー132

「……で、カメラの位置を簡単に変えることができた人物なんやろ? それに、望たちがいる階には、望のところで働いている職員しかいないんやし、今までのその防犯カメラの記録で不審者がいなければ、そうなるんちゃう? そして、望たちが夜の九時に部屋に戻ってきたときには荒らされた跡はあったものの、貴重品は盗まれてないんやったら、物盗りの犯行ではないってわけやしな……でもなぁ、物盗りじゃなかったら、犯人は何がしたいんか? っていうのが分からんのやけど?」  そこまで雄介は推理しといて、どうやらまだ犯人が何をしたいのかが分からないらしい。  望は、そんな抜けている雄介にため息をつく。  確かに朝はただの殺気で、夜は部屋を荒らされていただけ。確かにこれだけでは犯人が望に何をしたいのかが分からない。  例え、それが内部犯だとしても、外部犯だとしてもだ。 「ま、ええわぁー。とりあえず、飯も終わったし、風呂入ろ!」  そう言う雄介なのだが、顔はにやけているものの、瞳は真剣な感じだ。  その雄介の真剣な瞳に望は気づく。 「分かったよ……」  と、今回は仕方なさそうに返事をする望。  仕方なさそうに返事をしていたのだが、雄介の方は自分が言いたいことが望に伝わったようで安心した表情をすると、空になった食器を流し台へと置くのだ。  お湯を溜めている間、一昨日の時間を埋めるようにソファに座って、二人だけの時間を過ごす。  いや、むしろ雄介からしてみたら、今回の事件のことについて忘れるくらい、俺に没頭しろという意味だったのかもしれない。  そして、お湯が溜まる頃を見計らって、雄介は望の手を取ると、まずは二階へと足を運びパジャマ等を取って、一階にあるお風呂場へと向かう。  そして、久しぶりにお風呂に入った二人はさらに幸せな時間を過ごして、寝室へと向かうのだ。  あの喧嘩以来、無駄な時間を過ごさないように、さらに二人の間には愛が深まったのかもしれない。  布団の中に入っても、雄介は望のことを抱きしめたまま眠りへと落ちていくのだ。

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