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ー波乱ー133
次の日から、雄介が望の車を運転し、病院まで送り届けるようになった。そして、和也が来るまで待ってから、和也と望は病院へと向かうのが日課となっていた。
そのためか、この前のように殺気を感じることは一度もなかった。
そして明日は望の仕事が休みで、明後日からは雄介が仕事に出かけるという土曜日の夕方。望と和也は部屋のソファで話をしていた。
「まぁ、明日は休みだからいいとして、明後日からは望が一人で病院に行くことになるけど、大丈夫なのか? それに、その夜は雄介も家にいないんだろ?」
「ここ最近、何もなかったし、犯人も諦めたんじゃねぇのか?」
「いや、多分……ここ数日何もなかったのは、望に隙がなかったからだと思うぞ。俺と雄介が一緒にいてボディガードみたいになってたから、犯人は近づけなかったんじゃねぇか? もし俺が犯人だったら、やっぱり望が一人の時を狙うはずだよな」
和也は腕を組んで考え込む。
「明後日からも和也とは病院の駐車場で待ち合わせだろ? それなら、俺が一人になる時間ってのは行きと帰りの車の中だけだ。そうだったら、大丈夫だと思うんだけどな」
「まぁな。何かあったら携帯で連絡してくれれば、すぐに車を飛ばして行くからさ」
「車を飛ばして来るのはいいけど、警察に捕まったら意味ねぇからな」
「分かってるって……そういや、明日の夜は裕実が夜勤だったんだよなぁ。俺は久しぶりに一人の夜ってわけだ」
和也はすぐに話題を変え、明日の夜誰もいないことに項垂れているようだ。
「たまにはいいんじゃねぇのか? 誰もいない時を過ごすのも。きっと恋人の存在が、より愛おしく感じるかもしれねぇけどな」
そう望はからかうように言ったつもりだったが、
「ん? 望もそんなことを言うようになったんだ」
「はぁ!?……え? な、何か言ったか!?」 「焦ってるってことは、俺の言ってる意味、分かってるんだろ? まぁ、望も雄介がいないと寂しいって感じるようになったんだろ? そう思わなきゃ、さっきの言葉は出てこないよな?」
和也は余裕の表情を見せているのに対し、望は顔を真っ赤にしていた。
「甘い! 甘い! この前は裕実と望に負けたけど、望か裕実一人なら俺の方が強いしな。まだまだ、俺の方が一枚も二枚も上手ってことだな」
和也は自慢げに望の顔に近づいて言うが、望の方は悔しそうな表情を浮かべていた。
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