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ー波乱ー134

「ま、いいや……今日はもう帰ろうぜ。俺も裕実と明日のこの時間まで一緒にいたいしさ、望もだろ? なら……」 「ああ……」  そう言うと、望はロッカールームへと消えていく。  そして和也も着替えを終えると、裕実に連絡し、ドア前で待ち合わせた。三人は部屋を出て、帰って行く。  望が家に帰ると、必ず雄介が玄関まで迎えに来てくれていた。これも、ある意味今日で最後である。  望は帰宅後、お風呂に入ると、いつものように雄介に髪を拭いてもらい、雄介が作った料理を口にする。 「明日は久しぶりにデート行こ! 二人が一緒の休みって、そうそうないんやしなぁ」  望はその雄介の提案に、間を置きながらも頷いた。  本当はすぐにでも頷きたかったのだが、望の性格上、直ぐに反応することができなかったようだ。 「ほなら、何処行く?」 「お前が好きな所でいいよ」  望にしては珍しく素直に答えたのだが、相変わらず小さな声で言ったため、どうやら雄介の耳には届いていないらしい。 「ほなら、俺が行きたい場所でええねんな?」 「ああ、まぁな。それに前回の時には俺が提案した場所で何かがあったから、俺の意見じゃない方がいいと思っただけだからさ」  そう言う望に対して、雄介は小さな声で突っ込みを入れる。 「やっぱ、望って素直やないんやなぁ……ま、最近はそこも可愛く思えるようになってきたからええねんけど……」 「何か言いましたかー?」 「何も言うとりませんけどー」  雄介は明らかに望から視線を外して言っていたのだが、なぜだか望はクスクスと笑っている。 「おい! ちょい! なんやねんて!」 「いやー、雄介って、案外可愛い所があるんだなーって思ってさ」 「俺のどこが可愛いんじゃい! 可愛いとこなんて一つもあらへんぞー」 「そうか? 俺には、雄介の弱い所が可愛いって思えるんだけど……」  一瞬、雄介は望の言葉に「?」を頭に浮かべたが、 「ま、望が俺のこと、可愛いって言ってくれただけでもええかぁ」  と言い、雄介は望に笑顔を向ける。  雄介に笑顔を向けられて、今度は望の方が目を丸くしてしまった。 「どないしたん?」 「あ、いや……可愛いって言われて、恥ずかしくねぇのかな? って思ってさ」

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