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ー波乱ー142

「君と望との間では、そんなことがあったんだね。でも、今は二組とも幸せなんだろう?」 「はい……まぁ、そうですね」  和也は、きっと自分と裕実のことを思い出しているのかもしれない。少し照れながら返事をしているのだから。 「望は今もあの雄介君とは幸せなのかな?」 「みたいですよ。以前に比べたら毎日のように幸せそうな顔をしていますからね。本当に、あの時僕が望に告白していなくて良かったとさえ思うほどです。僕にはないものを雄介は持っていて、今は雄介が望のことをちゃんと支えてくれているみたいですからね。僕は僕で、今は裕実と一緒になれて幸せを感じているので、望のことは気にしていませんよ」  そう、和也は嬉しそうに語っているのだから、本当のことなんだろう、と裕二は思っているのかもしれない。 「悲しいことはたくさんあったけど、君の方には嬉しいことも返ってきたということかな?」 「確かにそうですよね。一時期、雄介と望がカップルになりそうで嫉妬してしまいましたが、それから暫く考えた後、僕は二人の幸せを選ぶことにしたんです。だから、僕は望とは親友で居たいと思いましたしね」 「なら、良かったんじゃないかな?」  裕二はそこまで言うと、夏見駅周辺にあるコインパーキングへと車を止めることにする。 「さて、とりあえず、いよいよだね」  和也はその裕二の声で腕時計に視線を向けると、時間はもうあと一分しかない状況だった。 「院長!急いでください!もう一分しかありませんよ!」 「ありがとう……梅沢君。とりあえず、梅沢君はこの車の中で待っていてくれないかな? 犯人はこの私に、ということだったからね」  裕二はそう言うと、後部座席に用意していた鞄を持って一気に車から降り、犯人が指定した場所へと急ぐ。  暫くして裕二が戻ってくると、どうやら今回は時間に間に合ったようだ。犯人は、時間に間に合わなければ望が監禁されている場所を爆発させると言っていたのだから。  二人は安堵のため息を漏らす。 「とりあえずは、間に合ったみたいですね?」  裕二は今走って来てスーツが乱れてしまったのか、そのスーツを正しながら車のエンジンをかける。 「また一旦、病院に戻らないとね。犯人からの指示はパソコンのメールからだから」 「え?院長の携帯ではなくて、病院のパソコンにですか?」  和也はそう言うと、手を顎に当てて考え始める。

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