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ー波乱ー144

「こんな時にすみませんでした」 「別にそこは謝るところじゃないだろ? こんな時だからこそ、人間っていうのはミスするんじゃないのかな? 人間っていうのは誰しも完璧な人間なんていないのだからね。それに、ずっと気を張っている時に君みたいにたまに抜けてくれた方が和むしね」 「そ、そうですか……ありがとうございます」  しかし裕二というのは、こんなに優しく紳士的なのに、望はどうして裕二のことを嫌うのだろうか? 確かに「鬱陶しい」とは言っていたが、和也からしてみれば、いい父親にしか見えない。 「とりあえず、今は私の携帯で君が言う、その友人に一応連絡してみるかい?」 「いや……やめておきます。本当に使えない奴ですし、もし内部犯の犯行だとしたら、見知らぬ白衣の人間がいたら怪しいと思われますしね。下手をすると警察関係者かもしれないっていうのがバレてしまいそうですし……」 「じゃあ、私が今日から雇った新人さんっていう設定にするのは? それで、病院に戻ったら、その人の名札を作るっていうのはどうかな?」 「んー」  和也はしばらく考えると、 「本当に邪魔な奴かもしれませんよ。それなら、自分たちの手でなんとか犯人を捕まえる方法を考えた方がいいのでは?」 「んー……君はどうして、その子のことをそこまで言うのかな?」 「以前、確かに事件に巻き込まれたことがありまして、そいつに頼んだことがあるんです。あいつ……親のコネか何か分からないんですけど、今も警視庁の方で働いてるみたいなんですよね? しかも、僕の同級生でもあるんですよ。それで、高校の時に僕はあいつに狙われてまして、今もどうやら僕のこと、諦めていないようなんですよね? だから、あいつに頼むのは……っていう感じなんです。それに、知ってました? 院長が望のことを大阪の学会に行かせた時に、あいつ……望たちと同じ飛行機に乗ってまして、その時に望の飛行機がハイジャックされて、望曰く『役に立たなかった』って言ってたんですよ。まぁ、その時は雄介が頑張ってくれたようなんですけどね。親のコネで警視庁で働けているんだか何だか知らないけど……それじゃあ、警察官になった意味がないような気がしますしね」  裕二は和也が話してくれたことに少し考えてから、和也に話し始める。

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