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ー波乱ー148

 現場は春坂病院から約二キロメートル離れた場所だろうか。  今爆発があった現場は古い工場の跡地のようで、その周辺は爆発によって建物が全壊していた。コンクリートで作られた建物は粉々になってしまっている。  その光景を見た裕二と和也は、ただ呆然と眺めるしかなかった。  だが直後、和也は崩れた建物を見て絶望したのか、涙を流しながら叫ぶ。 「望ー!!」  そして、助けられなかった自分を責めるように、拳を強く握って地面を叩いた。  その時、雄介が和也の姿に気づいたのか、それとも和也の叫び声で気づいたのかは分からないが、オレンジ色の防護服を身にまとった雄介が和也の前に現れる。 「ちょ、和也! 今のってどういうことやねん! 望が中にいるって言うんか!?」  雄介は和也を立たせると、顔色を変えながら問い詰めるように聞いた。 「雄介……?」  ようやく和也は、自分の目の前にいる人物が雄介であることに気づいたのか、その瞬間、雄介の両腕を掴んで言う。 「とりあえず、訳は後で話す! 多分、いや絶対に望があの中にいるはずだから! だから、早く! 早く! 望のことを助けてやってくれよっ! もしかしたら……望は……もう……」  そう言って和也は、なぜかそこで言葉を切ってしまう。いや、その言葉を口にしたくないのと、雄介に申し訳が立たないと思ったのかもしれない。和也は顔を俯けてしまった。 「はぁ!? 望があの中に!?」  雄介はまだ、あの中に望がいることが信じられない様子だった。しかし、和也の言葉に反応して爆発現場を見つめる。  そして、雄介は意を決したかのように和也から離れ、仲間たちの元へ戻って行くと、どうやら救助の作戦を聞きに行ったようだ。  その時、雄介の顔に何か明るくて眩しい光が差し込んだ。  雄介はその明るく眩しい光に目を眩ませる。  どうやら、その光は太陽の光を吸収し反射しているようだった。 「ちょっと、待ったー!」  雄介は急に大声で叫び、これから作業をしようとしていた他のレスキュー隊員を静止させる。 「生存者がこの瓦礫の中にいるのかもしれへん……!」  たとえそれが望でなくとも、雄介の仕事は人を助けることだ。  いや、こういった仕事に携わっている以上、誰でも助けるのが雄介の役目である。  雄介は、その光が放たれている方へと走って向かう。 「そこに誰かいるんか?」

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