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ー波乱ー150

 だが、望の体からはまだ温もりを感じ取れるところから、望が生きていることが分かる。  それに安心した雄介だったが、その救急隊員が首を振ったのが気になる。 「……って、今、何でお前は首を振ってたん?」  雄介がそう言いながら、その救急隊員へと掴みかかろうとしたとき、雄介の瞳にさっきの光がまた目に飛び込んでくる。 「雄……っ……介……や、やめろっ!」  またしても苦しそうに訴える望。 「……って、さっきから、その光はなんやねんなぁ?」  雄介は望がさっきから放ってくる光に鬱陶しさを感じながら、望の声が聞こえる高さへと腰を下ろす。 「これ……お前から……もらった……痛っ!!」  望はゆっくりと右腕を動かし、手で握っていた雄介からもらったドッグタグを掲げる。  望の手の中に握られていたドッグタグ。それが今回の事件、事故で役に立ったということだ。 「これって、俺があの時にあげたやつかぁ!?」 「ああ、今回は……このドッグタグのおかげで助かったんだからな……」  ちょうど望が雄介に向けて笑顔を向けたとき、和也たちも望のそばへとやって来る。 「望! 大丈夫なのか!?」  和也はとりあえず望が生きていたことにホッと胸を撫で下ろし、笑顔を望へと向けると、望の方はその和也の言葉に頷く。  和也や雄介が安心したのも束の間、 「望……? 左手の方は動かすことができるのかな?」  その裕二の質問に、雄介も和也も目をぱちくりさせる。  和也と雄介は望が生きていたことに安堵していただけで、怪我のことは気にしていなかったらしい。  望は裕二が言うように左腕を動かそうとしているが、なかなか動いてくる気配はなかった。  その状況に、雄介も和也も二人とも顔に力が入ってしまっているような表情をしている。きっと今の望のように顔に力を入れて、一緒に望の左腕を動かそうとしているのかもしれない。 「左腕の方は切断することになるのかもしれませんね……」  そう救急隊員が言った直後、和也と雄介はその言葉に言葉を失う。  救急隊員が望をストレッチャーへと乗せた直後、裕二は望の左腕に触れると、 「これくらいなら、私がやれば切断せずに済むのかもしれないな。まぁ、まずは病院に行って、レントゲンを見てみないと断言はできないけどね」  そんなことを言いながらも、裕二は雄介と和也の方へと笑顔を向けるが、その笑顔は一体どういう意味なんだろうか?

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