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ー波乱ー154

 和也はそう独り言を漏らすと、寝ている望の顔を見ながら、その日は過ごすのだった。  それから次の日、警察が望の病室へとやって来た。  昨日の事件に関して、警察関係者が望の病室へと来ていた。その中には和也や裕二もいる。  しかも今回の事件を担当したのは、和也の知り合いでもある白井だった。 「まず、吉良先生にお伺いしますが、拉致された時間とかって覚えていらっしゃいますか?」  望はベッドに座り、白井の方に視線を向けて答え始める。 「僕が拉致されたのは、多分七時半くらいだったかと思います。昨日は七時くらいに家を出て、しかも昨日は雨で道は渋滞してましたからね……いつもより着くのが遅かったかと思いますよ。そこのところはハッキリと覚えていますからね」  白井は望の言葉をメモすると、 「次はどんな感じで拉致されて、どんな場所に監禁されていたのか、っていうのは覚えていますか?」 「んー、そういう質問形式だとめんどくさいので、昨日あったことを話せばいいんですよね?まぁ、話は長くなってしまいますが……」  望はそこまで言うと、一旦言葉を切り、話を始める。 「僕の方は二、三日前から誰かに狙われているっていうのは分かっていたんですよ。その時は、駐車場で背後に殺気を感じたくらいで済んだのですがね。そこで、僕は友人である和也にその事について相談したんです。まぁ、ただの殺気だけでは警察の方は動いてくれませんしねぇ」  望は白井に嫌味のように言うと、話を続ける。 「それで、梅沢君と僕と一緒にいる桜井君とで僕のことを守ってくれていたので、その間は大丈夫だったのですが、昨日はたまたま梅沢君が待ち合わせ時間に遅れていたので、僕一人で動き出した途端に口を塞がれて目隠しをされて車に押し込まれました。それから、五分くらいのところだったのでしょうか? どこかの建物の中に僕は監禁されたようなんですよね。それから、ずっとその中に監禁されていたようです。後は、そこに監禁されてからその二、三時間後くらいに爆発が起きたというところでしょうか? 時間の方は曖昧ですが……確かそれくらいだったかと思いますよ」

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