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ー波乱ー165

 望はその携帯を手にすると、電話帳で裕二の場所にカーソルを合わせて電話をかける。  そして、望は裕二の携帯に電話をすると、 「親父! 今すぐに俺の病室に警察官と一緒に来てくれ! 今、俺のことを狙っていた犯人がいるからさ! 今は雄介がその犯人と闘ってくれてるんだよ!」  望はそれだけを告げると電話を切る。  未だに病室内で闘っている二人を見ていると、やはり武道をやっていたという皇志の方は、未だに体に傷一つなく、息も上がっていないようだ。一方、雄介の方はお腹に皇志の一発が入っているためか、息が上がってきているようにも思える。  両者とも、隙を見せたらやられるのがわかっているからなのか、本当に隙を見せない二人。睨み合いが続いている。  その時、ドアが開き、皇志はそのドアの開閉音に気付いたのであろうか。雄介に隙を見せたことによって、雄介は行動を起こし、皇志のお腹へと一発喰らわせる。  たとえ武道をやっていなくても、日頃鍛えている雄介の一発はかなり重たいのであろう。その一発が皇志のお腹に入ると、皇志はそのまま床に伏してしまう。 「親父! コイツが俺のこと狙っていた犯人だ!」 「へぇー、私が息子並みに可愛がっていた子がね」  そう言うと、裕二は床に伏している皇志の元へと向かい、 「君はとんでもない人を殺そうとしてたんだ……一回目の時は失敗したから、二回目は自分の手で私の可愛い息子に手を出したんだね。悪いが、どんなに可愛い子でも私の息子に手を出すなら、病院には置いていられないかな? まぁ、とりあえず君は殺人未遂っていう立派な犯罪を犯しているのだから、病院で働くところではないのかもしれないのだけど……だって、刑務所行きになるんだろうしね」  そう言うと、裕二は皇志を警察へと引き渡す。 「これで、一件落着って感じなんやな……」  雄介はホッとしたような表情を見せると、腰にもう力が入らなくなったのか、そのまま床に腰を落としてしまったようだ。 「ホンマ……めっちゃ怖かったわぁ……死ぬかと思ったけど……助かってホンマ良かったし……」 「ちょ、待てよ……ってかさ、そんな事言うけどさ、お前は本当に弱いのか!?」

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