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ー波乱ー166

「弱いって言うなやぁ、学校で習った位なんやしな。奴が何をやっとったのかは知らんのやけど、素人相手に本気で来る事はないやろ? むっちゃ、痛かったしな」 「じゃあ……」  そう望が雄介の手当てをしようかと思ったのだが、 「私が診てあげようか?」  裕二が名乗りを上げてくる。 「あ、え、ええですよー、ええですよー。大した事ではないですからー」  そう雄介は流石にその裕二からの申し出に、手と首を激しく動かし遠慮するのだ。 「遠慮する事はないよ。望の手は今は動かないのだからね。治療なんて事は出来ないだろ? 望……ナースコール押してくれるかな? 空いてる看護師さんにカート持って来てもらいたいしね。」  裕二はそう言いながら、さっき雄介が犯人とやりあった時に負ったお腹を触っているようだ。 「これは、痛いかな?」  少し強めに裕二が雄介のお腹を押すと、雄介の顔色を伺う。  やはり雄介はさっき犯人にモロに喰らったっていうだけあるのであろうか? 裕二がお腹を押さえることで顔を痛さで歪ませていた。 「まぁ、これ位なら大丈夫だとは思うのだけど、今日は、まぁ、望の隣でゆっくりしていったらどうだい?」  その裕二の言葉に目を丸くする雄介と望。 「そんなビックリしたような顔しなくてもいいんじゃないのかな? まぁ、君たちが恋人同士なら、いつまでも一緒に居たいって気持ちは分かってるよ。まぁ、そんなに二人で居たいのなら、一軒家を二人にプレゼントしちゃおうかな?」  と半分ふざけて言っているようにも思えるのだが、何も考えていなかった望は、 「はぁ!? え? ちょ、親父……俺達の事結婚させる気か?」  流石に望は口から『結婚』という言葉を思わず出してしまい、恥ずかしかったのか急に顔を真っ赤にさせて俯いてしまう。 「ちょ、望……大丈夫かぁ!? とりあえず、男同士では結婚はできへんやろ?」  雄介に言われて、更に顔を真っ赤にする望。今のは完全に望の自爆という事になるだろう。 「望は雄介と結婚したいって思ってたんだね。私の方はそれでも全然構わないのだけど……法律上ではねぇ。日本では同性での結婚は認められてないからさ。まぁ、同棲の方は認められている所はあるのだから、それでいいんじゃないのかな?」  確かに裕二の言う通りである。 「でもな……親父……俺達の方は別にこのままでいいんだけど……」 「ん? 私達の方がね……妻と再び日本で暮らす事になったからっていうのかな? で、まぁ、君達を追い出すっていうのは変なんだけど、君達の邪魔はしたくないって言うのかな?」  そこまで裕二が話していると、カートを運んで来たのは裕実だ。

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