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ー波乱ー168

「それはどういうことかな?」  裕二は、まったく今回挙がっていた三人のことは本当に知らないのかもしれない。とぼけた風でもなく、普通に答えたのだから。 「じゃあ、他の三人については親父関係ではないってことだな……」 「そういうことだったのかー。なら、俺は今まで通り裕実とー」 「ラブラブしてもいいってことやんな……ほなら、俺もー」  そう雄介は望に抱きつこうとしたのだが、みんなの前ではそういうわけにはいかず、 「みんなの前で、そういうことはすんな……って言ってるだろうが……」  ベッドに顔を出してきた雄介の首を右手だけで回し、ふざけて首を絞めるマネをする望。 「本当ー、お前らは相変わらずだよな……つーか、望が素直になればいい話なんだけどさ……俺は、ま、とりあえず裕実とラブラブなことするけどー」  そう和也は裕実の肩に腕を回し、裕実と視線を合わせる。裕実は、さすがにみんなの前だからということもあって顔を赤くしながらも、和也と唇を合わせる。 「本当……恋人っていいもんなんですね。僕も早く作りたくなってきちゃいましたよ」  そう颯斗は裕二に告げる。 「いいんじゃないのかな? この子たちみたいに幸せが訪れると思うよ」  二人がそう微笑んでいる中、和也は颯斗の方に向かい、 「お前はさ……ただ院長の指示に従ってただけなんだろ? なら、俺にもう気とかそういうのがないんだったら、仲間にしてやってもいいぜ……これからは俺たちと遊んだり、飲みに行ったりしないか?」  と和也は颯斗の前に立ち、颯斗を見上げながら言う。 「ありがとう。こんな僕だけど、これからもよろしく……」 「ああ」  和也は颯斗と握手を交わし、笑顔で裕実のところに戻る。 「本当、和也って誰とでも仲良くしちゃうんですねー」 「そう拗ねんなよ。好きなのはお前だけだからな……あ、違った……愛してるのはお前だから、心配すんなって」 「もうー! 和也! ってば! 平気な顔してみんなの前でそんなこと、言わないでくださいよー」  裕実にしてみれば、本当に恥ずかしいのだろう。顔を真っ赤にしながら和也の胸を叩く。 「さて、我々は行こうか? この子たちの邪魔だしね」 「ですね……」  そう言うと、裕二と颯斗は望の病室を後にする。

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