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ー波乱ー171

 急に雄介は思い出したのか、とりあえず裕二の方向に体を向けると、 「ありがとうございます。僕達の為に家まで用意していただいて……」  そう雄介は裕二の方に向かい頭を下げる。すると、裕二の方は雄介の方へと近寄ってきて、耳元で、 「これからも望のことを頼むよ。新しい家になったら……私達のことを気にせずに思いっきり楽しめるだろ? それと……地下に……」  そう裕二は雄介だけに聞こえるように言う。 「……があるから」  その裕二の言葉に雄介の方は顔を真っ赤にし、また口をパクパクとさせていた。 「そこを使うか? 使わないか? というのは君達の勝手なんだけどね」 「あー! そこは裕二さんのご好意なので、有り難く使わせて頂きます!」  そう元気な声で答えると、雄介は裕二に向かって再び頭を下げるのだ。 「じゃあ、これで私の方は失礼するよ……」  裕二は雄介に新居までの地図を渡すと、望の病室を後にする。 「なーに親父と話してたんだ?」 「そんなの内緒や内緒……さて、望……新しい家の方に行こうで……」 「ん? あ、ああ、そうだな」  雄介の言葉に気になるところがあったのだが、やはり望の方も二人だけの家ということもあって、そこは今は気にしなかったらしい。望と雄介は色々と手続きを済ませると、早速車で新しい家へと向かうのだ。  そこから、また新しいスタートを迎える二人。  これから、また、どんな生活が待っているのだろうか?  まだまだ、数々の試練やドラマがあるのかもしれない。  とりあえず今日は二人きりで甘い一日を過ごそうか? 【ー波乱ー】END NEXT→【ー海上ー】

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