976 / 1062

ー海上ー4

 洗濯機は脱衣所にあり、雄介は今着ていた服を洗濯機に放り込むと、洗濯機を回してお風呂場へと向かった。  望がいない日の雄介は、こんなふうに過ごしていることが多い。  夕方になると、雄介は買い物へ出かけ、夕飯や明日の朝の買い物を済ませ、その後は夕飯を作り始めるのだ。だが今日は、雷のせいで予定が狂いそうだった。  最近の雷は、暑さのせいもあってか、夕立ちくらいでは済まない場合がある。それに、最近の雷は地上に落ちやすい。そんなニュースを何度見たことだろう。  だが、今日の場合はただの夕立ちだろう。とりあえず雷のピークは終わったようだが、雄介は「雷が止んでから買い物に行った方がいい」と思い、ソファに座って雷が完全に鳴り止むまでテレビでも見て寛いでいた。  雄介は特に雷が嫌いというわけではない。雷が鳴っている間だって外に出られるくらいなのだが、「もし雷に当たって死ぬようなことになったら?」と考えると外に出られなくなってしまった。それに、もしそんなことになれば、望に心配をかけることになる。それだけは絶対に避けたい。  最近は、望のためにそこまで考えるようになってきた雄介だった。  やがて雷が鳴り終わり、雨雲の合間からオレンジ色の空がゆっくりと顔を覗かせた。 「ほな、雷も止んだし……買い物に行くか!」  雄介がソファから立ち上がった直後、玄関の方からドアが開く音が聞こえてきて、雄介は一目散に玄関へ向かった。 「やっぱりー、望やったんかいな……」  そう笑顔で言う雄介だが、 「やっぱり……って……ここはお前と俺しか住んでないだろうが……」 「まぁ、そうやねんけど……。まぁ、今は雷で外に出られんかったし……買い物か? 外食にせぇへんか?」 「夕飯まだだったのか?」  望は驚いたような、寂しそうな表情で靴を脱ぎながら雄介の顔を見上げた。

ともだちにシェアしよう!