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ー海上ー5

「へ? 何か悪いこと、俺言ったん? だってな、めっちゃ複雑そうな顔してんねんけど? ん、ま……今まで雷鳴っておったし、今の時代っていうんか、雷っていうんは、危険やろ? せやから、雷が鳴り終わるのを待っておったんやけどな」 「そうか……」  望はそうボソリと言うと、部屋へと上がっていく。  今日の望はいささか機嫌が悪そうな感じがするのは気のせいだろうか? 「どないしたん? 仕事で嫌なことでもあったんか?」 「いや……別に……」  望は雄介の質問に素っ気ない返事をしながら、部屋の中へと上がってくる。 「なぁ、望……」  そう雄介が声を掛けると、望は鞄を大きな音を立ててソファへ置いた。望は何かに怒っているのかもしれない。 「なぁ、ホンマにどうしたん?」  そう雄介は聞くが、望から返事はない。  しかし、望が何も答えないことに対して、雄介も我慢の限界に達していた。 「なぁ、望! 人が話してる時に無視すんの、やめてくれへんかな?」  そう言って雄介は望の肩を掴むが、望はその手を払い除け、二階の寝室へと向かってしまう。 「まったく、望は何が言いたいんだか……ホンマ……望って分からん時あるし」  雄介はソファに体を預け、天井を見上げる。  そして、今日望が帰宅してからの出来事を振り返る。  望は帰ってきた時には既に不機嫌だった。だが、さらに望の不機嫌を決定づけた何かがあったはずだ。自分の部屋に籠ってしまうほどのことが。 「あ! あれか!? 俺が『外食に行けへんか?』って言うたのがアカンかったんか? 確かに、そっからやったもんなぁ、望が不機嫌になってもうたの……ってことは、望は外食じゃなくて、俺の料理を楽しみにしておったってことなんかな? あー! なんで俺、やってもうたんやろ? 望の機嫌を直すためには、やっぱ俺がご飯作ってあげた方がええってことなんやな? ほな、飯作るかな?」  雄介は望の言いたいことが分かると、すぐに行動を始める。買い物に行く準備を終え、家を出た雄介。  そして、近くの商店街へと向かうのだ。

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