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ー海上ー13

「分からへんことはないんやけど……なんやろ? その答えが当たり前すぎて違うんかな?って……」 「なら、言ってみろよ」  雄介はもう一口ビールを口にすると、 「キスしたいとか、抱くとかかな?」 「……それでいいんじゃねぇのか?」  今日の望は本当に意外なことを言っている。確かに当たり前なことではある。でも、恋人同士にとっては大事なことなのではないのだろうか? 「そんなことも分からなかったのかよー」  本当に今日の望にはテンポをずらされてしまっているような気がする。そんな望に、完全に雄介の方が調子を狂わされているのかもしれない。 「ま、せやな……」  そう言いながら、雄介はとりあえず納得しておいたようだ。 「じゃあ、逆に分かってるんだったら、今日は何故それをしてこないんだ? つーか、さっき俺、言ってたよな? 今日はお前に抱いて欲しいんだって……」 「あ、まぁ……まぁな……」  今日は完全に望のペースに巻き込まれているような気がする雄介。だが、雄介だって望にそこまで言われたなら、もう完全に望のペースに巻き込まれようと思ったのか、望に近づき、望のことを抱き上げ、 「ほなら、今日は付き合ってもらうしな」  そう耳元で囁くと、そのまま望を地下室へと向かう。  急に変わった雄介に、今度は望の方が目を丸くしている。そして、自分が知らない場所へとそのまま運ばれてしまい、キョロキョロと辺りを見回す望。  まさか、この家の一階にこんなドアがあるなんて、今まで知らなかったからだ。  雄介はそのドアの前に立つと、ポケットから鍵を取り出してドアの鍵を開ける。 「つーかお前っ! 俺をどこに連れて行く気だよっ!」 「なーんかな……お前の親父さんが、俺たちのためにもう一個プレゼントしてくれたみたいやで……。まぁ、俺の方は昼間のうちに確認しておいたんやけど……」  そう言う雄介だが、望からしてみたら、今の雄介が何を言っているのか理解できていないようだ。  望はただ雄介に抱いて欲しいと言っただけなのに、寝室ではなく、なぜか地下室に連れて来られているのだから。  そして、雄介は望を抱き上げたまま階段を降り、望をその場で降ろす。 「これが、望の親父さんがくれたもう一個のプレゼントや!」  そう言いながら、雄介は地下室の電気を点けた。

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