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ー海上ー31

 雄介は望の中から玩具を抜くと今日の自分の行動を反省するかのように肩を落とすのだ。 そして望とは反対側を向いてベッドの上に座って体を丸めてしまう。  そんな雄介の様子にもう一度、息を吐く望。  望からしてみたら確実に雄介は勘違いしているであろう。  その誤解を解くためにも早く雄介に声を掛けて上げたいのだが口が上手く開かないようだ。  だが口は上手く開く事は出来なかったのだが体をゆっくりと起こすとベッドの上にうつ伏せの状態で雄介へと近付く。  そして未だに熱い体と怠い体を動かしながらも雄介の事を背後から抱き締める。  望は雄介の耳側で掠れるような声を発し、 「なぁ、雄介……分からないのか?」  望は雄介の背中に頭を付けると、 「さっきさ、俺言ったよな? 今日はどんな雄介でも許すってさ……」  こんな台詞、望からしてみたら恥ずかしくて本当だったら絶対に口にしないのかもしれない。 でも今のこの状況だと確実に雄介は誤解しているのだから、ここは恥ずかしくても望が口を開かないとならない所なのかもしれない。  恥ずかしいからこそ雄介に向かって顔向けが出来なかったのかもしれない。 「な、望……それ、本当の事なん?」 「嘘なんか吐く訳ねぇじゃねぇか。 ってか、逆に言うけどさ、お前は俺の言葉を信じてきれねぇのか?」  雄介はその望の言葉に微笑むと安心したようなため息を吐き望の方へと体を向け望の体を抱きしめるのだ。 「ありがとうな……望の事やから、めっちゃ今の言葉出すまでに勇気がいた言葉だったろうしな。 ああ、分かったって……。 望の言葉っていうのは誰よりも信用しとるし」  その雄介の言葉に望の方も安心したのか雄介の方へと視線を向ける。  望の方はというと最近は雄介のおかげで本当に変わって来ている。  もちろん、そこは雄介も実感しているようだ。 そして、それが分かってるからこそ少しずつではあるのだが二人の距離が縮まってきていつようにも思える。 「今日はホンマに暴走してもええんやんな?」  そう何度も確認するかのように雄介は望に聞いている。  その雄介の言葉に望の方は頭を頷かせていた。

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