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ー海上ー38

 そんな和也からの、相変わらず何も考えていなさそうなメールに、再び望はため息を吐く。 『行くわけねぇだろ……今はそんな気分じゃねぇんだよ』  と、望は再びため息を吐き、和也に断りのメールを入れる。  だが、和也はメールを打つのが早いのか、すぐに返事が来たようだ。 『もう、望の家の前に来てるって言ったらどうする?』  その言葉に、望はすぐに立ち上がり、外が見えるカーテンを開ける。そこには、自分の愛車に乗って手を振っている和也の姿があった。 『……ったく! アポ無しで来るんじゃねぇよ! 本当、空気読めない奴だなっ!』  望はムカついた態度を露わにしたメールを和也へ送るが、 『なーに言ってんだ? 逆だよ……逆……』  望はその和也からのメールに首を傾げる。本当に意味が分からないのだから。今日の望は本当に和也には会いたくない気分で、むしろ一人でいたいのに、和也が無理やり連れ出そうとしている。 『今日は雄介いないんだろ? 部屋に閉じこもってないで、仕事がない時には仕事のことを忘れてパァーっとしないとだよな? 家でじっと一人で考え事してるより、誰かと一緒にいた方が時間過ぎるの早いんじゃねぇのか?』  立て続けに来た和也のメールに、望は仕方なさそうに息を吐く。  確かに一瞬は「空気読めない奴だ」と思ったのだが、やはり和也はちゃんと考えがあって行動しているのかもしれない。 『わかった。車を駐車場に置いて、リビングで待ってろ。俺はまだ起きたばっかりで、何もしてないんだからな』  そう望が和也にメールを送ると、すぐに返事が来た。 『分かった』  という短い返事とともに、和也の車の独特のエンジン音が聞こえてくる。  それがすぐに止むと、車が駐車場に入ったことが分かる。  そして、車のドアが閉まる音の後に、玄関のチャイムが鳴り響く。しかし、望はまだパジャマ姿だ。その姿で和也を迎えることになってしまう。 「……って、マジでまだ起きたばっかだったのかよ!」 「あのなぁ、さっき、まだ起きたばっかだって言っただろ? お前が逆に休みなのに起きるのが早いんだよ……」 「……って、もう十一時じゃんか……」

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