1011 / 1491
ー海上ー39
和也からしてみたら初めての望たちの家に入るわけで、辺りを見渡しながら望についてリビングの方へ向かう。
望は和也に何か言おうとしたのだが、昨日のことを思い出してしまったのか顔を真っ赤にして黙ったまま和也をリビングへと案内し、ソファへと座らせる。
「俺さ……風呂に入ってくるから……お前は大人しくテレビでも見て寛いでていいからな」
そう言うと、望は二階へ向かい、着替えを取りに行くと、一階にあるお風呂場へ向かう。
和也は望に言われて最初の方は大人しくテレビを見ていたのだが、やはり日曜日の昼間というのは面白そうな番組がやっていない。だからなのか飽きてしまい、頭をソファの背もたれへ寄りかからせる。
ここは前の家の時とは違い、確実に望と雄介のスウィートルームというわけだ。望も雄介も毎日のように甘い生活を送っているのであろう。
「羨ましいよなぁ、恋人同士で一緒に住めるなんてさ。俺だって裕実と一緒に住みたいって思っているんだけど、俺とアイツの賃貸契約があと半年もあるんだぞ! 後半年も待ってられっか……」
一人部屋の中で叫び声を上げる和也。
だが、きっとお風呂に入っている望には聴こえていないだろう。
「しっかし、望の風呂って長いんだなぁ」
望がお風呂に入って来ると言ってから、かれこれ三十分は過ぎていた。
と、その時、突然、和也の携帯が鳴り出す。和也は携帯を開くと裕実からかと思ったのだが、どうやらメールの主は雄介からのようだ。
「なんだよー、裕実からだと思ったのにさ……まったく、雄介からってなんなんだよ。まぁ、朝のメールで雄介が望のところに行ってやってくれって言ってたんだしな。雄介はやっぱり望のこと相当心配なんだよなぁ」
また和也は携帯に向かって独り言を漏らし、その雄介からのメールを読み始める。
『望に無事に家の中に入れてもらえたか? って、前提でやな……一階にある階段の後ろにあるドア開けて階段を降りてみぃ……なんか面白いもんがあんで!』
「……へ? 階段の後ろにあるドア!?」
雄介からの意味の分からないメールに首を傾げながら、和也は雄介の許可をもらったこともあって、雄介の指示通りに階段の後ろにあるというドアへ向かう。
その雄介が言っているドアはすぐに見つかった。和也はその階段を降りて、もう一つあるドアを開ける。
流石は地下室、一切光が入ってこない場所だけあってか、電気のスイッチを手探りで探す和也。
電気のスイッチを見つけると、そこには目を疑うような光景が広がっていたのだ。
ともだちにシェアしよう!