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ー海上ー46

「まぁ、確かに……ちょっとな……」  二人の会話が途切れると、和也は話題を変えてくる。 「なあ、望ー、今日は望の家に泊まっていいか?」 「そんなの、ダメに決まってるだろ」  和也のお願いに即刻お断りを入れる望。 「さすがに俺一人じゃねぇよ。裕実も一緒なんだけど……」 「むしろ、逆に嫌だね。どうせ、和也のことだから、さっき見た地下室を使わせてくれって言うんだろ?」 「まあ、それもあるんだけどさぁ、お前のこと、雄介に頼まれてんだよ」 「心配しなくても大丈夫だって」 「何言ってんだよ、お前、この前誘拐されたばっかだろ?だから、雄介はお前一人にさせるわけにはいかないってことなんじゃねぇのか?」  そこまで和也に言われると、さすがに返す言葉がなくなってくる望。 「分かったって……泊まらせてやるからさ」 「よし!決まり!」  そう嬉しそうに呟く和也に対して、望の方は憂鬱そうにため息を吐くのだった。 「んじゃあ、お腹の方も落ち着いてきた頃だし、行こうか?」 「ああ、そうだな」  二人は立ち上がるとレジの方へと向かう。 「俺が出しとくから、望は先に行ってていいぜ……」 「でもな」  と、望は少し考えてから言う。 「あのさ……お前ってすぐに出したがる性格だよな。とりあえず、車でここまで連れて来てもらったし、それのお礼ってことならいいだろ?」  望はただ普通に言ったつもりだったが、なぜか和也はニヤケながら先に店を出ていく。  その和也のニヤケ顔を見ていた望は、お金を払いながらも首をかしげてしまった。  そして最近、望は和也に対して気になったことは聞くようにしているようで、車に戻ってくると、 「お前なぁ、なんでさっきニヤケてたんだ?」 「ん?あれ?いやぁ、望が急に素直になったなって思ってよ」 「どこがだ!あれは普通だろうが……」 「ほら、前に俺が望を空港まで送って行った日があっただろ? その時の望って、黙って払ってったんだからなぁ」  和也の言葉に、望はその時のことを思い出したのだろう。顔を一気に赤くさせてしまった。 「え?今日は……だから、普通に!」 「普通?……普通だったのかな?別に俺はドライブが好きな方だし、ガソリン代は全然気になんなかったし……ってか、『お礼』ねぇ」 「お礼はお礼だっつーの!」 「だから、それは何のお礼なのかな?って聞いてるんだけど……」 「それは……」  そこまで追及され、言葉を詰まらせる望。

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