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ー海上ー67
「そう和也は望に承諾を得ると、雄介にこの前望が話していたことを伝える」
「望にそんな過去があったんかいなぁ。そりゃ、その日のそないなことがあったら、余計に心配するかもしれへんなぁ」
望はその話を聞きながら、窓の外を流れる景色を見ていたが、急に背後から気配を感じ、背中に温もりが伝わってきた。
「ホンマ……スマン! せやから前に言うたやんか……俺、ホンマにレスキューの仕事辞めるって……」
「それは……言っただろ? お前には、たくさん助けを求めてる人がいるんだって……。だから、辞めるんじゃねぇよ。それで、もうこれからは死なないように努力するってことで話は終わったんじゃねぇのか?」
「まぁ、確かにそうやったな」
雄介はそう言いながら望から離れ、後部座席のシートに背中を預けた。
再び車内が静まり返ったが、和也はそんな沈黙が苦手な性格だ。
「なあ、雄介ー」
和也は明るい声で話しかけた。
「いきなりなんやねん……嬉しそうな声出してー」
「やっぱ、あの部屋いいよな?」
「あの部屋って、あの地下室のことかいな?」
「当たり前じゃねぇか! 一度、裕実と使わせてもらったんだけどさ、玩具とかコスプレとか揃ってるじゃねぇか。だからさ、この前使わせてもらったとき、コスプレで俺たちの方は楽しんだんだぜ」
和也の言葉に興味をそそられた雄介は、運転席の方へと身を乗り出す。
「その話、気になるのか?」
「当たり前やんかぁ。そこまで言われたら気になんない訳がないやろ?」
「そりゃ、俺は憧れの白衣着てー、裕実はミニスカナース。」
「むっちゃありきたりやんか。」
「ありきたりって言うけどな、そりゃ、お医者さんごっこみたいなもんで、道具も使い放題だろ? それに、一番恋人とやってみたい設定じゃねぇのか?」
和也は、そのプレイを思い出してニヤけた顔をバックミラー越しに雄介へ見せた。
「じゃあさぁ、雄介はどんなコスプレが好きなんだ?」
「せやな?」
いきなり和也に振られた雄介は、腕を組んで真剣に考え始めた。
「ほな、女子高生かメイドさん!」
「ほら、お前だってありきたりじゃねぇか」
「あ、まぁ、そういうことなんかな?」
「人のこと言えねぇだろうが」
和也の言葉に納得する雄介。
「ま、わかったから、その話聞かせてぇな」
「いいぜ。まぁ、これからの参考にしてみたらいいんじゃねぇのか?」
その二人の会話を呆れたように聞いている望と裕実。
「とりあえずだな! まぁ、少なくともおいしい設定ってわけだ!」
それだけ言って、和也はにやりと笑うだけだった。
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