1040 / 1491
ー海上ー68
その言葉に転ける雄介。
「あのな……それだけかいな」
「ああ、まぁ、後は自分で考えてしてくれよな」
雄介はため息を吐くとシートへと寄りかかる。
「馬鹿か……和也がそんな事を話してくれる訳がねぇだろ?」
そう呆れたように口にする望。
「そういう事だったんかいな」
「まだ、お前は和也の性格分かってねぇだろ?」
「んー、そうなのかもしれへんなぁ」
そんな話をしながら四人は今日泊まる旅館へと入って行く。
旅館の女将に案内され部屋へと入ると、窓から水平線が見える。 そして青い海も広がっていた。
その景色に飛びついたのは和也と雄介だ。
「めっちゃ綺麗やなぁ」
「今回は俺が選んだ場所だからな。 よし! 今日は天気がいいし、早速海の方に出掛けるぞ!」
「お前達先に行って来いよ」
「なぁ、まさか、スキーの時みたく本当はお前水泳も出来ないんじゃねぇのか?」
そう和也は望の事を疑いの眼差しで見つめる。
「……流石に二度も同じ事はしねぇよ。 なら、行くしー!」
そう望の方は自信満々に答えたのだから、今回は前の時とは違い本気で平気なのであろう。
「なら、決まりだな!」
一方、和也の方は今の望の一言に満足そうというのか、ドヤ顔というのか、そんな表情を浮かべると海へと行く準備を始める。
和也の方は水着へと着替えると、
「準備万端!」
そう笑顔で言う和也の方は看護師という姿ではなく、まるで子供のような無邪気さがあるようだ。
「あのなぁ、一応、もう、大人なんだから、せめて、Tシャツ位は羽織っていけよ!」
そう望は和也に向かって言うと、和也の頭を叩くのだ。
「痛ってー!」
「お前が馬鹿な事言うからだろうがっ!」
「だからって、殴る事はねぇだろうが……」
「お前の場合、殴らないと分かってもらえそうにないからな」
そこまで言われると和也の方はもう言い返す言葉もなくなってしまったのか、和也の方は仕方なく望に言われた通りにTシャツを着るのだった。
その和也の姿を呆れながらも、望の方も着替え始める。
四人は着替え終えると、早速海の方へと向かうのだ。
海水浴場の方へと向かうと、今日は休日だけあって砂浜の方は人で溢れかえっていた。
「すっげー! 人なんだな」
「本当ですね」
「ま、しゃーないやんか……とりあえず、場所だけを確保してやな。 せっかく、来たんやから楽しんだもん勝ちやろ?」
ともだちにシェアしよう!