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ー海上ー70

「そうなんですか? 分かりました」  そうあっさりと引いていく三人。 「今の子達、結構可愛かったのになぁ」 「確かに可愛かったよなぁ」  和也と雄介の方はまだ顔の方を緩ませているようだ。  それを聞いていた望は反対側を向いてしまう。 「そうなのかよ」  とだけ漏らすのだ。  その望の様子に和也と雄介の方は急にクスクスとし出し、 「ホント、望って可愛いとこあんだな」 「せやろ? こないな事で嫉妬したりして可愛えとこあんねんやろ? 今のは言うとくけど、俺の方はわざと乗ったって感じやったんやけどな。 ほんで、望がどんな反応するか? っていうのを見たかったって訳や」  それを聞いていた望は急に顔を真っ赤にすると立ち上がり、その場から逃げるように走って何処かに行ってしまったようだ。 「やっぱり、雄介……これは流石にやりすぎだろ? 望はお前が戻して来いよ。 今は携帯の方は部屋に置いて来ちまってるし、お前の愛のパワーで望の事を探すしかないんだからな」 「お前に言われんでも探しに行くしな。 お前の方は裕実と海に行ってたらどうや?」  雄介は和也にそう言うと、望の姿を追い掛けてシートから離れて行くのだ。 「望達の方も行っちまったし、俺達の方は俺達の方でイチャイチャでもするか?」 「そんな事、僕だって今はしたくないですよ! 僕の方だって今の出来事に関しては怒ってるんですからね! 今のイタズラは僕でもいただけませんから!」  裕実の方はそう言うと、望同様に立ち上がって海の方へと向かうのだ。 「え? あ、ちょ、ちょっと待てよ!」  和也の方も一瞬裕実の言葉にビックリしたのだが、裕実が行ってしまったのだから追い掛けるように和也も動き出す。  一方、雄介と望の方は、雄介の方が毎日のように鍛えているだけあってか簡単に望に追いついてしまったようだ。  それは、まるで恋愛ドラマのように、海水浴場には沢山の人々がいるのだから、その合間をぬって雄介はその人混みの中、望の事を追い掛ける。 そして追いついたその先に望の手首を掴むのだ。  掴まれた望の方は当たり前なのだが、人前という事もあってなのか、それとも望の素直じゃない性格だからなのか、意地でも雄介の手首から逃れようと抵抗している。 だが雄介だって望の事を離したくはないのだから、望の手を離す事はなくしっかりと握っている。 「そないに抵抗したって望の手は離さへんで……ホンマ、さっきのは悪かったって。 さっきのアレは本気じゃなかったしな。 今の俺がどないに可愛い子が来ても行く気なんてサラサラないしな。 でもな、実は言うとホンマは嬉しかったんやで、望にしては珍しく嫉妬心丸出しやったしな。 せやから、望も俺の事ホンマに好きやっていうのも分かったし、ここでお前ん事抱き締めたい所なんたけど、こないに人がいる中やったらお前が嫌っていうの分かっておるから我慢しとるだけなんやけどな」

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