やっとの事で二人はその円陣の中へと進んで行くと、望は言葉を詰まらせる。 　その事は既に雄介の方は知っていたのだが、望は知らなかった事だ。 「か、和也！　ど、どうしたんだよ！」 「どうしたもこうしたも……さっき、あんなイタズラなんかするんじゃなかったぜ。じゃなきゃ、こんな事にはならなかったんだしよ」 　和也の方はそう悔やむように言うと、 「畜生！」 　と叫びながら和也の方は一生懸命裕実の為に心臓マッサージを続けていた。 「誰か、救急車は呼んだのか？」 　そう雄介の方は周りの人達に声を掛けている。 　すると、そこに居た男性が声を上げてきたようで、雄介はその男性に向かって、 「ありがとうな……」 　そう雄介はその男性の肩を叩くと、雄介の下から望が、 「和也！　今度俺が心臓マッサージの方を担当するからっ！」 「ああ、よろしく！」 　そう言っている間に和也は今度、人工呼吸の方へと移動する。 　しかし、この二人はいつもコンビを組んでいるだけあってなのか、本当に何も言わずに息がピッタリのようだ。 　それから間もなくして、裕実の方は口から水を吐き出すと、息を引き返したようだ。 　その裕実に安堵の息を漏らす三人。 「良かったー！」 「和也……？」 　裕実の方は未だに薄ぼんやりとした瞳で和也の事を見つめていた。 　それと同時に、遠くの方からサイレンの音が響いてくる。 　和也の方はそのサイレンの音で立ち上がったのだが、雄介はそんな和也の事を止めて、雄介はここまで救急車が入って来れないのを判断したのか、裕実の事を軽々と持ち上げると、裕実に負担が掛からないように急いでその救急車の所まで向かうのだ。 　その後を望と和也は追いかける。 　そして、雄介は裕実の事を救急車へ乗せると、雄介達はさっき居たシートへと戻っていくのだ。 「しかし、裕実の奴はどうしたんやろか？」 「あの二人に何があったかなんて俺にも分からねーよ。だけど、和也が言ってたけど『さっき、イタズラなんかするんじゃなかった』ってな」 「ほな、裕実も望と似たような行動をしてたって事か？」 「案外、そうなのかもなぁ。それに、プラスして泳げないのにも関わらず、裕実は海に入ってって溺れたって事か？」 「ま、確かにな……それなら、辻褄が合うっていうんかな？」 「……ったく、お前等って本当、ろくな事しか考えねぇのな……そんな事確かめなくても俺がお前の事、十分好きなのは分かってる事だろ？」