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ー海上ー76
「お前等なぁ、確かにお前等からしてみたら、ほんのイタズラ気分だったのかもしれねーんだけど……裕実の方はそれで危うく命落としそうになってんだぞ! よく、そんな事があった後なのにふざけた事言えるよな!」
望はそう言った後に腕を組んで雄介達のことを睨みつける。
「その事についてはホンマすまんって。それに、俺等の方は和也と話合わせたつもりもなかったし、まさか、そないな事になるとは思ってもみなかったしな」
雄介はそう言って両手を合わせて望や裕実に謝った後、再び女性達が和也達の方へ寄って来て話し掛けてきたようだ。
「あのー、すいません……私達と一緒に遊んでくれませんか?」
その声を聞いて、望は一応その女性達の方へ視線を向けるが、今はそういう気分ではない。望は女性達を睨みつけるように見てしまっている。
「別にナンパとか言うんじゃなくてですね。女性二人で海に来たのはいいんですけど、やっぱり、ナンパとかが多いじゃないですか? だから、男の人達といた方が安心かな? って思いまして……」
その言葉を聞いて和也は、
「構わないですよ」
と言うもんだから、望は一回ため息を吐き、その女性達へ視線を向けると、
「新手のナンパですか? 貴方達は嘘を吐いてるんですよ。それが嘘じゃないとは言わせねーぜ。だってさ、普通嘘を吐かない人間だったら、俺達のこと真っ直ぐ見て話せるもんだろ?」
その女性は望を睨み上げると、
「貴方は何者なんです? どうして、私達がナンパだって分かったんです?」
「今、言ったろ? 人間って嘘を吐く時には人のこと見る事ができねーんだよ……俳優さん以外の人だったら尚更な」
「貴方は俳優さんかなんかなんですか?」
「いいや……それを貴方に話す事はないでしょう?」
望がそこまで言うと、その女性達は諦めたようで何処かへと行ってしまった。
「こうすればいいんだろ?」
「流石やけど、女性に対してはそれキツくないか?」
「そこまで言わないと引かない奴は引かないだろ?」
「しかし、凄いわぁ、望は今の女性達をこうもあっさり引かせるなんてな。しかも、今の女性達、望に声掛けて来たんと違うんか? 望ー、そこ勿体ないとかって思わへんのか?」
「馬鹿か……俺がそんな事思う訳ねーだろ?」
望はそう言ってシートの方へ腰を落とす。
「何、それは……やっぱ、俺達が居ったからなんか?」
その雄介の言葉に、望は顔を真っ赤にした。流石に望も、雄介が言いたい事がわかったのであろう。
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