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ー海上ー83
「確かにな」
「……って、和也、そう他人事のように言うておるみたいやけどな。今のは和也にも責任があるんやで……」
「ま、まぁ……そうなんだけどさ」
「どうしたら望の機嫌が直るかっていうのを考えてくれへんと、困んねんけどな。和也はさ、望と長くいんねんから望の性格分かっておんねんやろ?」
「だけどさぁ、あ! これならどうなんだろ? 雄介、耳貸してくんねぇ?」
「……って、耳貸さなくてもココには誰も人がいないんやからええやろうが……」
「いいから、いいから……」
和也は雄介の耳元でその和也が考えた作戦を言うのだが、
「それは流石にアカンやろ? 多分、望には見抜かれると思うで……」
「でも、やってみなきゃ分からねぇだろ?」
「そりゃそうやねんけどな……望ならその作戦絶対に見抜いてくるってー! ほんで、また部屋に戻ってまうと思うねんけどな」
「そう言うけどさ……他に何か策でもあるのか?」
雄介は和也に言われた通りに腕を組んで考えてみるものの、どうやら和也のように何かいい考えは浮かんで来ないようだ。
「ほらな、やっぱり、さっきのしかないんだよ。かと言って今雄介が望に近づいてっても無理だろ?」
「せやな? でも、和也の作戦やと望の性格やったら無理やねんやろ? 絶対にその作戦じゃあ望は引っかかんて……」
「なら、お前だけで何とかするんだな。今は雄介が俺に頼って来たから作戦立ててやっただけだしさ」
和也の方はそう言うと、
「マジで俺の方は逆上せそうだし俺の方はもう出るからな」
「んー……」
と雄介の方はまだ何か考えているようだ。
一方、和也の方は雄介の事を置いてさっさとお風呂場を後にする。
「望の事はとりあえず雄介に任せて俺は俺で裕実の機嫌の方を直さないとなぁ。ま、少なくとも裕実の場合には望よりかは機嫌直すの簡単だと思うけどな」
そう和也は脱衣所で独り言を漏らすと浴衣へと着替え、雄介より先に脱衣所を後にする。
しかし和也の方も雄介同様に裕実や望の事で悩んでいるようだ。腕を組んで部屋までの間考えているのだから。
雄介にはああは言ったものの、和也の方もそう簡単に部屋の方に戻れず、ゆっくりとした足取りで部屋へと向かって行っていた。
これが自分の家や裕実の家ならば、裕実だけ機嫌を直せばいいのだが、望ともなるとなかなか難しいのかもしれない。
和也にしてはその廊下で大きなため息を漏らす。
いつも明るい和也なのだが、今さっきの出来事は部屋へと本当に戻りづらそうにしている。でも自分で蒔いた種なのだから自分でどうにかしないとならないのは分かっている。
いつも明るい和也なのだが、こうして恋人の事となると落ち込むことがあるのかもしれない。
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