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ー海上ー89

「じゃあ、雄介は今まで何してたんだよー」 「んー……なんかなぁ、知らんけど……俺、倒れておったみたいで、俺が気がついた時には望の奴、顔色変えておったしな」 「……って、ことは例の作戦を実行したってことなのか?」  和也は望と裕実には聞こえないように、ソファの前にあるテーブルから体を乗り出して、雄介にだけ聞こえるように話し始める。 「アホか……ホンマに倒れてもうてたんやって……意識なかったみたいやしな。まぁ、望が軽く診てくれたみたいやし、ほんで平気そうやって言ってくれたしな。ただ逆上せてもうたって位なんかな?」  雄介は和也から離れると、ソファへ寄りかかる。  そして、雄介が気がつくと、望にしては珍しく、雄介の隣に腰を下ろしていた。 「……って、和也に雄介、今の話はどういうことだ?」  和也は内緒話のように話していたので、和也の声は聞こえなくとも隣にいた雄介の声は望に聴こえていたのかもしれない。 「……へ? だからやなぁ」  雄介の方はとりあえず誤魔化そうとしたが、こういう時に限って言葉が上手く出てこないようだ。 「望達は先に風呂から上がってまったやろ? ほんで、和也と俺は風呂場に残されたやんか……まぁ、あん時は望達のこと怒らせてまったし、どうしたらええねんやろ?って言っておったらな……和也が『雄介が倒れたら望が来てくれるんじゃねぇのか?』っていう話をしておったら、そのまさかで……和也がお風呂から上がった後に俺はあそこで倒れておったってことなんかな?」  望は雄介のその言葉に大きな息を吐くと頭を掻いて、 「正直お前等がやってることは子供以下の考えなんだよな……だから、呆れちまうんだけどよ。悪ふざけっていうのはお前等の性格なんだから仕方ねぇよ。だけど、限度っていうのがあんだろうが……それさえ超えなければ、まぁ、仕方ねぇってところかな? ってか、俺がどんだけ心配してたかっていうのが分からないんだろうな」  最後の言葉なんかは望からしてみたら顔から火が出るくらい恥ずかしい言葉だったのかもしれない。だからなのか、気づいた時には顔を俯かせ小さな声で言っていたのだが、三人にはその望の言葉が聞こえていたようで、一瞬その望の言葉に目を丸くした三人だったが、次の瞬間には顔を合わせて微笑んでいた。 「ほな、寝るか!!」 「そうだな」  和也と雄介はその場に立ち上がる。

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