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ー海上ー121
「そういう事じゃあないんと違う? ただ、迷いがあったからなんと違うのかな? 俺の場合には一目惚れで迷いも無しに告白しておったしな」
本当にこの二人だけの時にそんなことを話したことはなかったのだが、今やっとこういう話ができるようになったのだろう。
「……? そうだな……確かに雄介の言う通りなのかもしれねぇよな? 俺の方はホント望にいつ告白するかって迷ってたくらいだったしな」
「ま、あ……とりあえず、下に行かんと、望が風呂から上がって来てまうし、それに、あのお嬢様を怒らせると怖いしな」
そう言うと、雄介はベッドから立ち上がる。
「確かにそうだよなぁ。雄介の言う通りかもしれねぇな……ってか、望には確かに『お嬢様』っていう言葉が似合うかもな」
「せやろ?」
二人はその言葉でクスクスと笑いながら、下へと向かう。
「……ってかさ……雄介……お前寝てねぇんじゃねぇのか?」
「寝てへんよ……」
「って、そうスラッと答えてるけどさ……お前、体の方は大丈夫なのかよ。これから望と出掛けるんだろ?」
「あ、まぁ……そういう事に関しての体力は残しておるし」
「……ってか、昨日の船の事故でかなり体力奪われてるんじゃねぇのか?」
「ま、確かにそうなんやけどな。昨日の夜の方は全く出動なかったし、数時間やけど寝れてるから大丈夫やって」
「望はさ、そう言葉に出して心配はしてくれねぇけど、心の中ではお前のこと心配してると思うぜ」
二人がリビングに入ると、望がお風呂から上がるまでソファに腰掛けた。
「そういうとこ、分かっておるよ。それに、自分の体は自分が一番よく分かってるしな。それに望と会ってる時間は少ないし、こういう時くらいは望のために時間作りたいしな」
「ま、お前らしいよな。な、雄介、それより望、風呂から出てくるの遅くねぇか?」
雄介は和也に言われ、腕時計を覗く。確かにいつもより遅いような気がする。
「確かになぁ」
「望……今、眼鏡ないんだろ? 雄介が一緒に風呂に入ってやらなくて良かったのか?」
和也はにやけながら言う。
「何言うてんねん……風呂入る時、望は普通に眼鏡してへんぞ? せやから、そこは心配する所じゃないんと違うか?」
「あ、そっか……確かに裕実も眼鏡して風呂入ってねぇな」
和也は納得したようだが、次の瞬間、再びにやけた表情で、
「ならさ……今日は久しぶりに雄介とデートだから念入りに洗ってるとか?」
その言葉に、雄介は急に笑い始める。
「プッ! 和也! 後ろ! 後ろ!!」
雄介の言葉に、和也が後ろを振り返ると、そこには目を座らせた望が立っていた。
「和也さぁ、お前って本当にろくなこと言わねぇのなぁ。俺的には普通の時間で風呂に入って来たつもりなんだけどさ……そりゃ、悪いと思ってるよ、客人が来てるのに風呂に入って来るなんてさ。でも、俺にしてみたら朝風呂に入るのはもう癖みたいなもんだからな」
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