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ー海上ー151
「ま、まぁな……」
そう望は答えると、車から降りて雄介と一緒に院長室の方へと向かう。
「……って、病院関係者じゃない俺がここに居ってええんかな?」
そう今更ながらに廊下を歩きながら言う雄介。
「いいんじゃねぇ? 親父が雄介も一緒にって言ったんだからさ」
望は雄介より先に歩き、その後ろを雄介がついてくる。雄介の方は初めて来る所だからであろうか、辺りをキョロキョロしながら院長室へと向かうのだ。
人間、初めて来る所というのは辺りを見渡してしまうもんだろう。
「……って、今日、むっちゃ俺、私服やんか」
「そこは気にする所なんじゃねぇんじゃないのか? だって、着替える暇さえなかったんだしよ」
雄介が服のことに関して気にしたのは、流石に望のお父さんに会うのだから、せめてスーツの方が良かったのではないかと思ったからなのかもしれない。
雄介がそう服のことを気にしていると、望の足が急に止まる。
「ここだよ……」
「ここかいな。あー! むっちゃ緊張してきたわぁ」
「まぁ、雄介は親父とは何回も顔合わせしてるんだし、親父の方も雄介のこと気に入ってくれてんだし、緊張することなんかねぇんじゃねぇの?」
そう二人は院長室前で会話をしていると、突然その院長室のドアが開く。 その瞬間、誰が出てきたのかが分からないのだが、その人物は望を見ると急に抱き締めてくる。
「兄さん! 会いたかったよ!」
そう望に言う人物。望はいきなり自分のことを抱き締めてきた人物のことを見つめると、髪型と眼鏡は違うものの、その顔は望にそっくりだ。
「……へ!? お前は?」
「あ、ゴメンね。あまりにも兄さんに会えたことが嬉しくって、先に兄さんのこと抱き締めちゃったんだけど……僕の方は吉良歩夢(キラ アユム)。兄さんの弟だよ……宜しくね。兄さん……」
改めて自己紹介をしてくる歩夢。
「はぁ!? お、俺の弟!?」
「ま、まぁ……深い話は父さんがしてくれるからさ」
そう言いながら歩夢は望の手を取り、院長室の中へと連れて行く。
だが、雄介の方は廊下に残されたままだったのだが、雄介の方も慌てて院長室の中へと入って行く。
「やっと来たみたいだね」
「あのな……人が休んでる時に下らない事で呼び出さないでくれるか? って、さっき父さんが言っていた『大事な人』っていうのはコイツの事か?」
そうめんどくさそうに望は、隣にいる歩夢のことを指差す。
「まぁ、確かに『大事な人』っていうのは歩夢の事だけどね」
「それはさっきコイツから聞いた。で、そこは分かったからさ、何で今更、俺に弟がいるのかが聞きてぇんだけど、そんな事今まで一度も聞いた事なかったからさ」
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