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ー海上ー156 海上最終話

 その望の言葉に雄介はいきなり顔を上げて、笑顔になると、 「ああ! そう言われてみれば確かにせやな!」 「だから、俺の弟に負けてんじゃねぇよ。つーか、俺の方ははっきり言ってアイツの事嫌いだしよ。今後一切関わりたくはねぇって思ってるんだけどな。まぁ、もうアイツとは会う事なんかねぇだろ?アイツも学校ある訳だしさ。それに家も別々だし、俺には仕事もあるしな。まぁ、そういう事なら話は終わりだ!とりあえず、俺風呂に入って来るなっ!」  今まで望の言葉を聞いて安心したのか雄介はいつもの雄介に戻ったようで、 「望ー、今日、風呂に入るの四回目やんかぁ」 「って、そんなに俺今日は風呂に入ってたか?」  素なんであろうか。それともお風呂に入る回数の方を気にしてないのか。そこは分からないのだが望の方はそう惚けたような表情をしている。 「ほんま……望って仕事以外の時っていうのは何処か抜けておるのな」  雄介の方はそう呆れたように言うとソファへと横になって指折りしながら数え始める。 「朝行く前に入っておったし、ホテルでは二回入っておったし、ほんで、今入ろうとしとるやんか……」 「ああ、まぁ、確かにそうだな。でもさ、朝と夜は入らないと気が済まないっていうのかな?まぁ、ホテルでの回数を無くすと二回なんだから普通なんじゃねぇ?」 「ま、そうなんやけどな。ま、時間が無くなってまうし早くお風呂に入ってきぃ……」  そう雄介は望に向かって手を振る。 「お、お前は……風呂に入らないのかよー」  顔を赤くしながら望は言葉を詰まらせながらもそう雄介の事をお風呂へと誘う。 「んー……俺は望の後でええわぁ」 「な、それこそ!お前は時間の無駄だとは思わないのか!?」  その望の言葉に雄介の方は思いっきりソファから上半身を起こす。 「確かにそうなんやけど……あ、ああ!せや!そのな望とお風呂の入り方違うやろ?」 「なら、どっちかが折れればいい話だろうが……。例えば今日は俺の入り方でシャワーで入ったなら次回の時にはお風呂にお湯を溜めたお前の入り方で入ればいいんじゃねぇのか?」 「確かに……そうやんな。ほな!今日は一緒に風呂入ろう!」  雄介がそう嬉しそうに言った直後には望の方が先にお風呂へと足を向ける。  さて今回の船での事故で望の性格というのか雄介への愛は少し変化があったのかもしれない。そして歩夢という人物は望からしてみたら全くもって会った事がない実の弟だった。その弟は望の事が好きという事だ。望の弟である歩夢の登場によって再び波乱の予感しかないのかもしれない。 【海上】END NEXT→【崩落】

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