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ー崩落ー6
「あー! それは前に望が聞いてきてくれたことがあったなぁ。 まぁ、私に直接ではなくメールでだけどね。 それは望のことだったって事なんだね?」
「そうなんですよ」
「確かに病気には色々な後遺症がある時がある。 まぁ、望はその一つだったのかもしれないよね。 ま、とりあえずは生活には支障がないみたいだから大丈夫なんだろうけどね。 ということは、さっきの望と歩夢の喧嘩は本気だったって事になるのかな?」
「スイマセン……そのことについてなんですが、僕達も聞いてしまっていたのですが、本気で望は歩夢君のことが嫌いなんだと思いますよ。 さっき、一瞬、望と会話をしましたが、望にしては珍しく僕達にも『ありがとう』って言ってたのでね」
「そういうことだったんだね。 和也君と裕実君……」
裕二はそう言うと、裕実と和也より先に歩き出し、診察室の方へと向かう。
「今さぁ、院長、俺達のこと、名前で呼んでなかったか?」
「ですよねー?」
そのことについて二人は視線を合わせる。
「なんかさぁ、院長に苗字呼びされるより名前で呼んでもらった方がいいよな?」
「ですよね……」
二人が会話していると、再び背後に気配を感じて和也も裕実も背後の方に視線を向けると、和也達の間を走り抜けていく人物がいた。
だが和也はいつもの癖で、
「病院の廊下を走っちゃダメだろうが……」
そう大きな声で注意をしてしまっていた。 その人物も自分が注意されているのに気づいていたのか、和也達の方に振り向くと、
「スイマセン! 急いでたもんでね」
と言いながらもそのまま走って行ってしまう。
その後、和也と裕実は視線を合わせると、
「な、今の顔見たか!?」
「眼鏡と髪型は違いますが……」
「望にそっくりだったよな?」
「そうなんですよー! 今の人がきっと望さんの弟の歩夢君だったんじゃないんでしょうか?」
「って、望が言ってた事マジだったのかー!?」
「……そういうことって、和也は望さんの話を本気にしてなかったってことですか!?」
「ああ、まぁ……」
そう大真面目に答える和也。
「それは流石に望さんに失礼ですよー」
「そういうもんなのか?」
二人がそう会話をしていると、今はもう完全に人の気配を感じない病院のロビーへと入っていたようだ。 とりあえず、望のことを内科の診察室の前にあるソファへと腰を下ろす二人。
「そういやさぁ、もし、さっき廊下を走っていた人物が望の弟だとしたら、院長室で望と言い合ってたのは今の奴だよな? ってか、マジでそいつは何処に行ったんだ? まさか、あんなに望に拒否されていたのに診察室の方にいるのかな?」
「……へ? それは非常にマズいですよね? 望さんはさっきの弟さんとの言い合いで診察室に入るのをとても嫌がってましたしね」
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