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ー崩落ー7

「だよなー」  和也は急にソファから立ち上がると、辺りをキョロキョロと見渡し始めるのだが、やはり歩夢の姿は見当たらない。  寧ろこのフロアには誰もいる気配がない感じだ。 「この分だとアイツは診察室内にいるよな?」 「……ですよね?」 「そこは俺達が入っちゃダメな所だよな?」 「マズいんじゃないんでしょうか? 望さんって確か自分の体を見られるのは非常に嫌がりますからね」 「だよなぁ。 でもさ、望は俺達に見られるより今は歩夢に見られる方が嫌なんじゃねぇのか?」 「確かにそうだとは思いますけど……」  裕実の方は少し考えると、 「分かりました! 僕が弟さんのことを探しに入ればいいんじゃないんですか?」 「まぁ、裕実なら俺に見られるよりは平気そうだしな。 じゃあ、分かった! 裕実、中に入って見てきてくれねぇかな? 望の為にもな」 「分かりました! 僕が望さんの弟の様子を見に行って来ますね」  裕実はそう言うと、和也の方に笑顔を向けて診察室の中へと入っていくのだ。  すると、歩夢の姿を直ぐに見つけることが出来た。  歩夢は診察を受けている部屋の前に立ち、耳だけをひっつけてその中の様子を聞いている姿だ。 「君ねぇ、君がやってる事は犯罪と変わらない事なんだよ」 「あ、さっき、院長室の前に居た人だね」  歩夢は裕実に笑顔を向けると、裕実の前へと立ち、裕実の視線に合わせて腰を下ろす。 「へぇ、日本人って結構可愛い子が多いんだね」  そう裕実のことを下から上へと覗き込むように見る歩夢。 「ちょ、何で僕のことをそんなに見るんですか!?」  何故か裕実はその歩夢の行動に顔を真っ赤にし声を上げる。 「え? 可愛いなって思ってね。 直ぐに顔を真っ赤にするとか? ちょっとは興味あるんだけどさ……やっぱ、そこは兄さんの方が魅力的だよね?」  その歩夢の言葉にムッとする裕実。 「どうせ僕なんか……望さんより可愛くはないですよ。 でも、和也さんとヤってる時は可愛い声出したりするんですからね……きっと、その時の僕というのは可愛いと思いますけど!」  そんな裕実に歩夢はプッと吹き出す。 「君は何を言ってるのかな? 僕が言いたい事と君が言ってる事が違うのだけど……。 まぁ、君がドジ踏んでくれたおかげで、君がそっち系だっていうのがわかったからいいんだけどね」  歩夢は裕実の方へと近づくと、裕実の後ろの方へと腕を回して臀部を撫でながら耳側で、 「君は毎日のように恋人としてるのかな? 腰のラインは綺麗だし……お尻も結構柔らかいみたいだけど……こうやって触れられると、昨日の夜恋人とした事を思い出して疼いてこないか?」

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