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ー崩落ー12
望は体を起こすと、熱でぼうっとする頭で何か考え始める。
「とりあえず、俺が帰ったら、雄介のことだから玄関まで迎えに来ると思うんだよな……多分、雄介のことだから玄関まで迎えに来てると思うんだけどさ……そうそう、車が車庫に入った音には気付いてると思うしな。だからな、和也……家の方に電話してくれねぇか? 俺が病気だってことは絶対に伝えずに……。で、お前が雄介と電話で話をしている隙に、俺は家の中に入って地下室の方に行くっていうのはどうだ?」
「いや……そこは……俺たちが寝る前に地下室の方に行くからさ、望は二階にある客間の方がいいんじゃねぇのか?」
「それだと雄介にバレちまうじゃねぇのか?」
「望が近くにいて心配するのと、望が帰ってきているのに部屋に何も望の気配がないのと、どっちが心配すると思ってんだよ。まだ、近くにいるって思う方が安心できるだろ?」
「でも、それは逆に不自然じゃねぇのか?」
「どっちにしろ今日はその不自然さを通さなきゃなんねぇんだろ? とりあえず今はなるようになるしかねぇんだからな。とりあえず、早く部屋の方に行かないと、そろそろ雄介の方が痺れを切らして様子見に来ちまうんじゃねぇのか?」
「多分な……今まで車がここに止まってから、俺が中になかなか入らなかったことはなかったからな。雄介のことだから、心配して見に来る可能性は高いのは確かだな」
とりあえず、望は車から降りると、
「和也……後は頼むぜ……」
「ああ……」
と言うのだが、その時、急に声を上げる裕実。
「ちょっと待ってくださいよー。僕たちの方はどうやって望さんの家の中に入ったらいいんですかね?」
そんな冷静な突っ込みに、和也と望は目を丸くする。
確かにそうだ。望が家の中に入ってから、和也たちが望の家に向かうのはかなり不自然すぎるかもしれない。
「それならさぁ、まぁ、当初の計画通りに俺が電話している間に望は二階の方に向かって、で、雄介と電話しながら俺は雄介のことを驚かそうと思って電話したっていうのはどうだ? それで、雄介が玄関にまで迎えに来たら『望はトイレに行った』ってことにしたらいいんじゃねぇのか?」
「ああ! じゃあ、それで行こう!」
「……て、望の方は大丈夫なのか?」
「今は薬のおかげで落ち着いてる感じがあるかな?」
「じゃあ、実行開始!」
三人はそう計画し、車から降りると、二人は望の後に付いて家へと向かった。
そして、和也はタイミングよく雄介に電話をかけるのだった。
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