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ー崩落ー15
「ま、いいや……とりあえずさ、せっかく雄介が俺たちのために夕飯作ってくれたんだから行こうぜ」
和也がそう言って裕実に向かって立ち上がると、二人で雄介が待っているテーブルの方へ向かう。
いつもなら雄介と和也がいると騒がしいくらいなのに、今日の食卓は妙に静かだ。
和也は普段、嘘をつくタイプではない。だから、望のことを話しているうちにボロが出るのではないかと心配で、今日はあまり喋らないようにしているのかもしれない。
一方、雄介は、望が食卓にいないというだけで元気がないようだ。
裕実はもともと自分から何かを話すタイプではなく、いつも和也と雄介の会話を微笑みながら聞いているだけなので、特に話を振ることはなかった。
しかし、和也はこの空気に耐えられなくなったのか、それとも嘘をついていることに我慢できなくなったのか、大きなため息をついた。そして、雄介に向かい急に頭を下げて言った。
「やっぱり、ゴメン! 俺にはこの状況が耐えられねぇわぁ!」
いきなり謝罪した和也に、雄介は何が起こったのか分からない様子で、目を丸くして彼を見つめた。そんな和也の様子に気づいたのは、事情を知っている裕実だった。
「和也! 流石にそれはマズいですよー!」
「いいんだ……裕実。嘘に耐えられなくなった俺が悪いんだからさ。雄介の顔見てたら我慢できなくなっちまったんだよ。もし俺が雄介の立場だったら、望のこと心配するよな?って思ってさ。こんなにすぐ近くにいるのに恋人に会えないのはどれだけ寂しいか、分かるだろ? それに、雄介と望は普段から会える時間が少ないのに、会えないのは本当に寂しいだろ?」
「でも……」
「いいんだ。俺と望はただの親友。だけど、雄介と望は恋人なんだからさ。親友より大事なのは恋人だろ? だから、俺と望が後で喧嘩になってもいいんだ」
和也は一瞬切ない表情を見せたが、すぐに雄介の方を向いて笑顔を作り、話しかけようとした。その瞬間、裕実が和也の手を押さえて、自分が雄介に向かって話し始めた。
「ごめんなさい。雄介さん。僕たち、嘘をついてました。望さん、実はインフルエンザだったんです。だから、僕たちがここまで送ってきたんですけど……それには理由があって、望さんは雄介さんにうつしたくなくて、自ら会わないようにして、帰ってきてすぐ二階の客間に行ったんですよ」
その言葉を聞いた雄介はひと息つくと、
「なんや、そういうことやったんか……。お前らがこそこそしとったのは、それが理由やったんやな。普段なら気にせん俺でも、今日は気になってたんや……。ま、望の性格からしたらそうなんやろな? うつしたくないから、嘘までついて俺に接触したくなかったんやろ。ほな、そういうことやったら、俺と望はしばらく接触せん方がええんやろか?」
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