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ー崩落ー16

 そう分かっていそうな雄介なのだが、それでも切なそうな表情は隠せてはいない。 「雄介……我慢するなよな。会いたければ会いに行けばいいと思うしさ。そこは俺が何とかするし」 「そうですよー! 雄介さんが望さんの所に行って、例え怒られてもそこは僕達のせいにしていいですからね。寧ろ、本当に僕達が望さんの事を話してしまっているので話しちゃっても構いませんから」  雄介はその裕実の言葉に何か一瞬考えたのか、 「分かったわぁ……とりあえず、望の状況は分かったし、我慢できるとこまで我慢してみるな……ほんで、我慢できんようになってきたら望の所に行く事にするわぁ」 「まぁ、雄介がそう言うんだったらそれでいいんじゃねぇ?」 「ですね……。後は雄介さん次第ですからね」 「ところで望はどこの部屋に居るん?」 「あー……それは、さっき言ったんだけどさ……もしかしたら聞き逃していたのかもしれねぇよな? 望は二階にある客間の方にいるよ」 「そっか……ほなら、ある意味望とは隣で寝れるって事なんやな?」  雄介はそこにホッとしたのか、いつもの雄介に戻って来ているようにも思える。  その雄介の表情に和也も裕実も安心したようだ。 「ほな、とりあえず望の分の飯作るし、和也か裕実がそれ望のとこ持っていってくれへん?」 「ああ、それくらいなら構わないぜ……」 「ありがとうなぁ」  雄介はそう言うと、食べ終えた食器を片付け始めて望のためにお粥を作り始める。 「良かったですねー。雄介さんに笑顔が戻って来て……」  そう裕実は雄介には聞こえないであろう声で話し始める。 「まぁな……でも、何かイマイチ納得いかないような顔してんだよな?」 「そうなんですけど……。もう、僕達の方は何も出来ないですからねー」 「まぁな……後は雄介と望次第って所かな?」 「ですね。まぁ、後の事は二人で何とかするしかないですもんね」 「な、もし、お前が今の雄介と同じ立場だったらどうする?」 「そりゃ! 看病しに行くに決まってるじゃないですかー!」 「だよな。なら、雄介の奴……無理しねぇで望の所に看病しに行けばいいのにな」

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