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ー崩落ー18

「なら、雄介でいい……」  と答える。そんな望の言葉に、和也は安心したようだ。 「なら、雄介に本当のことを言ってもいいんだな?」  そう明るく言う和也。 「ああ、いい……」 「分かった……」  和也はひと息つき、胸を撫で下ろす。  そうだ。今の和也からすれば、ラッキーなことが立て続けに来たのだから、自然な流れで雄介に看病してもらうことができたのだろう。  多分、望のことだから、今日に限って熱で頭の回転が悪くなっていたことが幸いしたのかもしれない。  そうだ。いつもの望なら、もしそういう状況でも、きっと裕実を指名していただろう。 「ちょっと、待ってろよ」  そう言うと和也は急いで、下にいる雄介の元へと急ぐ。  和也はリビングへと通じるドアを勢いよく開け、雄介の姿を探すと、 「雄介! 望からお許しが出たぞ! 早く望の所に行ってやれよ。望の看病はお前に任せたからな」 「……へ? どういうことや?」  雄介にはどうやら和也が言っている意味が分からないようで、首を傾げている。  さっきまで雄介は直接的ではなかったのだが、望がいる部屋には入れないと言われていたのに、今の和也の口からはすぐに望に会えるという話だからだ。 「だからだな」  和也はそう言いながら、裕実が座っているソファの隣へと腰を下ろすと、 「俺が望の所に行った時、望は汗をかいたままの状態で寝てたんだ。熱出してんだから、当然シャツはビショビショだったし、そこで俺が『着替えさせてもらうの俺と雄介どっちがいい?』って聞いたらさ、望が雄介だって答えたんだよ。『じゃあ、雄介に望がインフルエンザだったって話してもいいんだな?』って言ったら『いい』って答えてくれたしな。ってことは今の望は雄介のことを必要としてくれてるんじゃねぇのか? だから行って来いって言ってんだよ」  和也は雄介に向かいそう説明し、笑顔を向ける。そして、雄介が望の所に行きやすいように、裕実が、 「雄介さん、良かったじゃないですか。なら、僕達の出番はもう無いようですね? 望さんからいいって言ってもらえたんですから、雄介さんは望さんの所に行ってもいいってことなんですからね」

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