1149 / 1486
ー崩落ー21
そんなことを望にそうはっきりと言われてしまうと、流石の雄介だって我慢に限界が来てしまうだろう。
「な、雄介……お願いだから……」
そんな望の言葉は、雄介にとって下半身直撃ものだったのかもしれない。
雄介がベッドの上に上がり、望の腰辺りを跨ぐ。
「ホンマにええんやな?」
「ああ、ん……」
望はその雄介の言葉に、甘い声で雄介を誘っているようにも思えた。
雄介はとりあえず、今はキスだけで済まそうとでも思ったのか、望に顔だけを近づけた直後、ドアをノックする音が聞こえてくる。
「なぁ、雄介ー! お風呂使わせてもらうなぁ!」
和也の声で我に返る雄介。
そして、和也が部屋の前まで来ていることに動揺し、言葉を詰まらせながら返事をするのだった。
「あ、ああ……ええって、ええって。聞きに来んでも良かったのに……もう、お、お前らやったら勝手に使うても良かったしな」
「ああ、そうだったか。ま、でも一応なぁ。それにあまりにも遅いから、どっかの誰かさんが発情しちまうんじゃねぇかと思ってよ……だから、それも含めて聞きに来たんだよ」
和也がそこに来たことに動揺しているのに、さらに和也は雄介の心まで見透かしたような言葉を投げかけ、雄介は顔色を変える。
「まぁ、望には無理させんじゃねぇぞ。するなら、程々にしとけよ……ってか、そんなこと絶対にするんじゃねぇからなぁ。それで、病気悪化したらよくないだろうがよ」
最初は茶化すように言っていた和也だったが、最後は真剣な口調で言うと、下へと降りて行った。
和也が行ってしまった後、雄介は大きなため息を吐く。
そして、望を切なそうな瞳で見つめ、
「冷静な俺やなくてスマンかった……」
そう言って望に向かい一礼し、言葉を続ける。
「和也の言う通りやんなぁ。病気の望に手を出そうとするなんて、ホンマに俺の方が知識なかったわぁ。それに、確か最初は望が病気を俺に移さないために、俺に近づけさせないようにしてくれておったのに、わざわざ移りに来るようなことしておったしな」
「確かにそうなんだけどよ……やっぱさ、お前が俺の目の前に来ちまったら甘えちまうんだよな。確かに俺は和也に『雄介は部屋に入れないように』って言っておいたんだけど……ん? 雄介? いつ俺が病気だって聞いたんだ?」
ともだちにシェアしよう!